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アニサキス

最近アニサキスがいる
魚介類が増えた?

アニサキス生ものや十分に火が通っていない状態の魚介類を食べた後に、胃にひどい痛みが起こる場合はアニサキス症の可能性があります。
アニサキスは長さ2~3㎝ほどで、目でも見える半透明の糸状の寄生虫です。最近は冷蔵技術が発達し、魚介類を新鮮なまま輸送できるようになったことで、アニサキス症が増えてきています。

アニサキスの生活周期

アニサキスは海中で下記の1から5の経過を何度も辿ります。

  1. アニサキスの卵が海中で孵化して幼虫になる。
  2. オキアミなどの海産甲殻類が幼虫を食べ、その体の中で生育する。 
  3. スルメイカやサバなどの魚介類がオキアミを食べ、その体の中に寄生する。 
  4. イルカやクジラなどの海獣が魚介類を食べ、その体の中で成虫になる。 
  5. アニサキスの卵が海獣の糞と一緒に海の中に出ていく。

アニサキスの幼虫は海獣の体の中で成長して成虫になります。しかし、人間の体の中では成虫になれません。したがって、生きているアニサキスの幼虫を人が食べても、通常は便から出て行きます。しかし、腸壁や胃壁に入り込み、アニサキス症を発症する場合があります。

アニサキスを食べてしまったら起こる症状

アニサキスが体内に入った場合、次のような症状が起こると言われています。このような症状に気づいた場合は速やかに当院までご相談ください。

胃アニサキス

アニサキスのほとんどは、胃アニサキスと言われています。アニサキスに寄生された魚介類を摂取してから数時間後に、胃にひどい痛みが現れます。また、発熱や蕁麻疹などのアレルギー症状が現れることもあります。

腸アニサキス

吐き気や嘔吐、腹痛などの症状が現れます。アニサキスに寄生された魚介類を食べてから、半日から数日ほど経過した後に症状が現れるので、アニサキスが原因だと気づかないこともあります。また、腸閉塞や腸穿孔が原因で腹膜炎が生じる可能性もあるため、気をつけなければなりません。

消化管外アニサキス

体の中に入ったアニサキスが消化管を突き破って移動した状態です。移動先の部位次第では専門的な治療が必要になる場合もありますが、滅多に起こることがありません。

アニサキスアレルギー

アニサキスアレルギーの方は、生ものを食べなくてもアニサキスを取り除いた魚介類を食べるだけで、もしくはアニサキスの死骸を摂取するだけで、アレルギー症状が現れる可能性があります。そのため、アニサキスが生息している可能性がある魚介類は、十分に加熱されていても、できる限り食べないのがお勧めです。

アニサキスの検査

胃カメラ検査アニサキスに感染したかもしれない方は、はじめに胃カメラ検査を行って確認し、アニサキスを見つけた場合は除去します。アニサキスが胃から小腸へ移動した可能性があれば、血液検査や超音波検査、レントゲン検査などで調べます。
しかし、胃から体内を移動したアニサキスを発見するのは困難だと考えられています。

胃カメラ検査について

アニサキスの治療

胃カメラ検査中にアニサキスを見つけた場合は、そのまま取り除きます。取り除くことができれば症状はすぐに穏やかになりますが、胃カメラ検査で取り除けない場合は、薬物療法で症状を和らげつつ、アニサキスが死滅するまで経過観察を行います。なお、アニサキスを取り除く薬は、いまだに開発されておりません。

加熱・冷凍すれば大丈夫?
アニサキスの予防法

アニサキスが原因の食中毒を予防するためには、下記の項目を守りましょう。

 

  1. 新鮮な魚介類を選ぶ
  2. アニサキス幼虫の有無をよく調べる
  3. 冷凍や加熱処理を行い、アニサキス幼虫を死滅させる

①新鮮な魚介類を選ぶ

新鮮な魚介類を選ぶ通常、アニサキス幼虫は魚の内臓に寄生しています。その魚が死ぬと筋肉部位に移動するため、新鮮な魚を選んで買うようにしましょう。また、魚を1匹丸ごと買ってきた場合は、可能な限り早く内臓を除去するのがお勧めです。

②アニサキス幼虫の有無をよく調べる

アニサキス幼虫は目で見えるため、発見したら除去しましょう。アニサキス幼虫は特に内臓に近い腹骨の周囲に移動しやすいため、念入りに調べましょう。また、アニサキス幼虫が腹骨の周囲の筋肉に侵入している場合があります。大量の幼虫を内臓の中で発見した場合、腹骨周囲をお刺身にして食べるのは避けましょう。

③冷凍や加熱処理を行い、アニサキス幼虫を死滅させる

アニサキス幼虫は冷凍や加熱処理によって死滅させられます。60℃以上で1分間以上加熱するか、マイナス20℃以下で24時間以上冷凍しましょう。
なお、わさびや醤油、塩漬け、酢じめのように家庭料理で使う食酢などではアニサキス幼虫は死滅しないため、注意しましょう。