胃腸のアレルギー「好酸球性胃腸症」とは
みなさんお待たせしました。専門医がお答えシリーズです!
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今回の胃腸のアレルギーというタイトルを見て、「アレルギー」なので花粉症や皮膚症状、食物アレルギーなどを思い浮かべる人が多いと思います。実はアレルギーの中に胃腸炎を引き起こす病態があります。それが好酸球性胃腸症です。頻繁に胃や腸の調子が悪くなる人はもしかすると好酸球性胃腸症かもしれません。今回はそんな好酸球性胃腸症についてその症状や原因、治療について解説していきます。
◯好酸球性胃腸症とは
まずは好酸球性胃腸症がどの様な病気なのか見ていきましょう。
好酸球性胃腸症は食物がアレルゲンとなって胃や腸でアレルギー反応が起こる疾患です。白血球のうち、アレルギー反応に関係する好酸球という細胞がアレルゲンとなる食物に反応して胃や腸に集まってきます。そこで炎症を起こすことで胃や腸の正常な機能が失われてしまいます。
食事の栄養が吸収できなくなってしまい栄養障害を引き起こしたり、アレルギー反応による炎症によって腹痛や嘔吐、下痢などの消化器症状が引き起こされます。
◯好酸球性胃腸炎の原因
前項で述べたように好酸球性胃腸炎はアレルギーが関連した疾患です。
食事中にその人にとってアレルギーを引き起こす成分が含まれているとそれに反応してこの病気が引き起こされることがあります。ただし原因となるアレルギー物質が完全に明らかにならない症例もおおく、厳密にどの様な原因で好酸球が胃や腸に集まってくるのかは完全な解明はできていないのが現状です。
また食物以外に花粉や空気中に漂うカビなどの吸入が原因になる可能性もあります。
遺伝が関係しているのかと疑問に持つ患者さんも多いですが、遺伝というよりは環境の要素が強いと言われています。しかしこの病気を持つ人が家族にいる人はそうでない人に比べてかかりやすい傾向があります。つまり遺伝と環境の要素が合わさって発症するのです。
◯好酸急性胃腸症の診断は?
好酸球性胃腸症の診断は上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)や下部消化管内視鏡(大腸カメラ)を用いて行います。まず内視鏡で胃の中や大腸を観察します。ここでアレルギーを起こした場所では粘膜の発赤が生じたり、何らかの病変を認めます。そのような病変があったら内視鏡の先から鉗子を出して病変部をつまみとります。つまみとった粘膜を顕微鏡で観察して診断を行います。このような検査を生検といいます。
好酸球性胃腸症では病変部にアレルギー反応によって集まってきた好酸球が多数存在します。顕微鏡で好酸球が集まってきているのが観察されれば診断が確定します。
◯好酸球性胃腸症の治療は?
好酸球性胃腸症の原因はアレルギーなのでアレルギーの検査などを行って、該当する成分があればそれを食べない、吸い込まないようにすることで症状が改善することがあります。アレルギー物質が明らかにならない場合には摂取しないようにすることは難しいため、免疫を抑える作用のあるステロイドを内服します。ステロイドは長期使用すると副作用もありますので、ステロイドを開始してから症状が再度出てこないかを確認しながら少しずつ減量して行きます。
◯難病指定ついて
好酸球性胃腸症は難病に指定されています。一定の重症度があり、診断がついた場合には医療費の助成の制度もあります。症状に悩んでいる方はぜひ内視鏡ができる医療機関を受信して医師の診断を受けましょう。
【大事なこと】
最近では胃カメラから洗腸剤を投入する、下剤を飲まない大腸カメラを売りにしているクリニックが散在しますが、当院は対応しておりません。理由として、いいブログを発見したのでご紹介させていただきます。
かくたに内視鏡消化器内科クリニック 角谷宏先生
→危険!警告!不正!下剤を飲まない大腸内視鏡検査
◯まとめ
今回はアレルギーによって胃や腸に炎症が起こって機能が損なわれる疾患である好酸球性胃腸症について解説していきました。胃や腸の不調は生活の質を損なう大きな問題になりえます。不快な症状がある場合には本症に限らずしっかりとした診断をつけて治療していくことが大切です。ぜひ早めに医療機関を受診して適切な治療を開始しましょう。
全ては患者さんの「もっと早く検査や治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。
詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。
令和3年10月25日 天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣
・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
・がん治療認定医