自毛植毛の費用はいくら?平均的な料金や相場を比較

「自毛は高額」とよく言われますが、具体的な相場感は意外と知られていません。実際、費用は30万円〜150万円以上と幅広く、施術方法や移植範囲、選ぶクリニックによって大きく異なります。
例えば、生え際だけの軽い施術なら数十万円台、頭頂部まで広範囲に植毛する場合は100万円を超えるケースも珍しくありません。さらに、FUE法・FUT法といった術式の違いでも価格は大きく変動します。
この記事では、術式別・部位別の詳細な費用相場や、費用を抑えるコツ、支払い方法までを徹底解説しています。
クリニック選びのポイントや、他の薄毛治療との費用比較も掲載しているため、あなたに最適な選択肢が見つかるので、ぜひ参考にしてください。
監修者
天白橋内科内視鏡クリニック院長
野田 久嗣 Hisatsugu Noda
医学博士
日本内科学会認定内科医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
がん治療認定医
自毛植毛の費用相場はいくら?
自毛植毛の費用相場は、施術範囲や脱毛の程度によって大きく異なります。
一般的な費用相場は30万円から150万円の間で、平均すると80万円から100万円ほどとなっています。費用はグラフト数(移植する毛髪の単位)によって計算されることが多く、1グラフトあたり300円から1,000円程度です。
クリニックによって料金体系や含まれるサービスが異なるため、複数の医療機関で見積もりを取ることが重要です。
また、初回カウンセリングや術後のアフターケアが別途費用として発生する場合もあります。
費用に含まれる項目
自毛植毛の費用には、手術料だけでなく様々な項目が含まれています。基本的には診察料、麻酔代、手術室使用料、医師や看護師の技術料などが含まれます。
また、多くのクリニックでは術前検査費用や基本的なアフターケア(1〜3回程度の通院)も料金に組み込まれています。ただし、クリニックによって含まれる項目は異なるため、事前に確認が必要です。
追加で発生する可能性がある費用としては、特殊な薬剤代、追加のアフターケア、万が一の修正手術などがあります。
料金プランが明確で、後から追加費用が発生しないクリニックを選ぶことで、予想外の出費を避けられます。見積書には何が含まれているのか詳細に記載されているか確認しましょう。
グラフト数(移植本数)
自毛植毛の費用を大きく左右するのがグラフト数です。グラフトとは毛包単位のことで、1グラフトに1〜4本の毛髪が含まれています。
一般的に、薄毛の程度や希望する密度によって必要なグラフト数が決まります。
M字ハゲ | 500〜1,500グラフト程度 |
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額の生え際の調整 | 300〜800グラフト程度 |
頭頂部の薄毛 | 1,000〜2,000グラフト程度 |
広範囲の薄毛 | 2,000〜3,000グラフト以上 |
多くのクリニックでは、1グラフトあたりの単価に総グラフト数を掛けて費用を算出します。総グラフト数が多いほど1グラフトあたりの単価が安くなる段階制料金を採用しているところもあります。
クリニックごとの料金設定
自毛植毛の料金設定はクリニックによって大きく異なります。グラフト単価制を採用している医療機関が多く、高級クリニックでは技術料や設備費用が上乗せされ、1グラフトあたり800円〜1,000円と高めに設定されていることもあります。
一方、定額制を採用しているクリニックもあり、施術範囲や脱毛の程度に応じたパッケージプランを提供しています。
また、海外の自毛植毛クリニックでは日本より安い料金設定のところもありますが、言語の問題やアフターケアの難しさなど注意点もあります。
カウンセリング・アフターケアなどの追加費用
自毛植毛を検討する際は、基本料金以外に発生する可能性のある追加費用についても把握しておくことが重要です。例えば、術前検査費用として血液検査や頭皮の状態確認のために5,000円〜20,000円が必要なケースもあります。
アフターケアについては、基本プランに2〜3回程度の術後診察が含まれていることが多いですが、それ以上の通院や特殊なケアが必要な場合は別途費用が発生します。
また、万が一の定着不良や追加施術が必要になった場合の修正手術費用は、クリニックの保証制度によって異なります。一部無料で対応するところもあれば、割引料金で再施術を行うところもあります。
自毛植毛の術式別費用比較
自毛植毛には主にFUT法とFUE法という2つの代表的な術式があり、それぞれ費用や特徴が異なります。
FUT法 |
メスで頭皮を帯状に切り取り、手作業で1株ずつ切り分けたうえで移植する方法 |
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FUE法 | メスによる採取ではなく、専用パンチを使って毛髪を毛包ごとくり抜いて採取する方法 50万円~150万円程度 |
術式選択は費用だけでなく、回復期間や傷跡の目立ちやすさなども考慮すべき重要な要素です。
最近では両者の利点を生かした最新技術も登場し、料金体系も多様化しています。術式による違いを理解し、自分の予算や状態に合った選択肢を見つけることが大切です。
FUT法は比較的安価で段階制が採用されることが多い
FUT法(Follicular Unit Transplantation)は後頭部から帯状に皮膚を切り取り、それを毛包単位に分けて移植する方法です。FUE法と比較すると比較的安価に施術を受けられます。
一度に多くのグラフトを採取できるため、広範囲の薄毛治療に適しています。また、ドナー部位からの採取効率が良いため、限られたドナーの毛髪を最大限に活用できるのがメリットです。
一方で、後頭部に線状の傷跡が残りやすく、回復期間も1~2週間程度必要になります。料金プランは多くのクリニックでグラフト数に応じた段階制を採用しており、大量のグラフトが必要な場合はより費用対効果が高い選択肢となります。
FUE法は比較的高額になるが傷跡が残らないメリットもある
FUE法(Follicular Unit Extraction)は毛包を一つずつ採取して移植する方法で、FUT法と比較して高額ですが後頭部に線状の傷跡が残りません。
ドナー部位に目立つ傷跡を残さないため、短い髪型を好む方に適しています。また、術後の痛みが比較的少なく、回復期間も短いという利点があります。
ただし、一度に採取できるグラフト数に限りがあり、広範囲の薄毛には複数回の手術が必要になる場合もあります。
自毛植毛の施術部位別の費用
自毛植毛の費用は施術部位によって大きく異なります。一般的に必要なグラフト数が部位ごとに違うため、それに応じて総額も変わってきます。
施術部位 | 必要グラフト数 | 費用相場 |
---|---|---|
生え際・M字部分 | 500~1,500 | 30万円~60万円程度 |
頭頂部・つむじ | 1,000~2,000 | 50万円~80万円程度 |
広範囲(前頭部から頭頂部) | 2,000~3,000以上 | 100万円~150万円以上 |
部位によって毛髪の生え方や角度も異なるため、技術的難易度も費用に影響します。例えば生え際やM字ハゲの部分は移植するグラフト数が少ない傾向であり、頭頂部や頭部全体の植毛よりも費用を抑えやすい傾向にあります。
予算に合わせて施術範囲を調整したり、複数回に分けて治療を進めることも選択肢の一つです。
生え際・M字修正の費用は比較的低コストで始められる
生え際やM字部分の修正は、自毛植毛でもっとも一般的な施術部位の一つです。生え際は見た目の印象を大きく左右するため、自然な生え際ラインのデザインが重要なポイントです。
M字部分は毛髪の生える角度や密度を考慮した高度な技術が必要となるため、経験豊富な医師を選ぶことが重要です。
部分的な施術のため比較的低コストで始められることが多く、薄毛治療の第一歩として選ばれることが多い部位です。施術後1年程度で自然な生え際を取り戻せることが多く、費用対効果も高い施術として人気があります。
頭頂部・つむじ修正費用は薄毛の進行度合いによって変動あり
頭頂部やつむじ修正費用は、薄毛の進行度合いによって変動します。
頭頂部は面積が広いため、十分な被覆効果を得るためには適切なグラフト数を確保することが重要です。つむじ部分は毛髪の渦巻き状の生え方を再現する必要があり、技術的に難易度が高い部位とされています。
頭頂部は自分では見えにくい部位ですが、他人からは目立ちやすいため、適切な密度設計が満足度に大きく影響します。この部位は将来的な薄毛の進行も考慮して、やや広めの範囲で施術を行うことが多いです。
広範囲(前頭部~頭頂部)は高額なため複数回に分けて施術をする場合もある
広範囲の薄毛に対する自毛植毛は、前頭部から頭頂部まで含む大規模な施術になります。広範囲施術では一度に行うと高額になるため、複数回に分けて段階的に行うケースも多いです。
分割して施術する場合、総費用は若干高くなりますが、1回あたりの費用負担と休養期間を分散できるメリットがあります。また、ドナー部位(後頭部)の毛髪には限りがあるため、広範囲の薄毛では植毛密度と範囲のバランスを考慮する必要があります。
高密度での施術を希望する場合は、複数回の手術を計画的に行うことで、自然で満足度の高い結果を得られることが多いです。
自毛植毛の施術グラフト数と費用の関係
自毛植毛の費用を決定する最大の要素は「グラフト数」です。必要グラフト数と単価によって総額が決まります。
グラフト数 | FUT法の費用目安 | FUE法の費用目安 |
---|---|---|
500 | 15万円~30万円 | 25万円~50万円 |
1,000 | 30万円~60万円 | 50万円~100万円 |
2,000 | 60万円~80万円 | 100万円~150万円 |
部位によって毛髪の生え方や角度も異なるため、技術的難易度も費用に影響します。例えば生え際やM字ハゲの部分は移植するグラフト数が少ない傾向であり、頭頂部や頭部全体の植毛よりも費用を抑えやすい傾向にあります。
軽度の薄毛なら1,000グラフト未満の移植で済むこともありますが、広範囲では2,000グラフト以上必要になることもあります。
多くのクリニックではグラフト数が増えるほど単価が下がる段階制を採用しており、施術前のカウンセリングで正確な見積もりを確認することが大切です。
グラフト単価の相場と総額の計算方法
自毛植毛のグラフト単価は、クリニックや術式によって異なります。また「FUT法」「FUE法」のいずれかを選択するかによっても以下のような違いがあります。
FUT法 | 1グラフトあたり300円~600円程度 |
---|---|
FUE法 | 1グラフトあたり500円~1,000円程度 |
多くのクリニックでは、総グラフト数に応じた段階制料金を採用しています。例えば「1~999グラフト:600円/グラフト」「1,000~1,999グラフト:550円/グラフト」「2,000グラフト以上:500円/グラフト」といった具合です。
総額は「グラフト数×単価」で算出されますが、麻酔代や検査費、アフターケア費用など別途かかる場合もあります。
各クリニックのウェブサイトには料金シミュレーターが用意されていることも多く、自分の状態に合わせた概算を知ることができます。実際の費用は術前カウンセリングで正確な見積もりを受けることをおすすめします。
自毛植毛と他の薄毛治療法の費用比較
薄毛治療には自毛植毛以外にも様々な選択肢があり、それぞれ費用や効果に違いがあります。
治療法 | 初期費用 | 年間維持費 | 10年間の総額目安 |
---|---|---|---|
自毛植毛 | 30万円~150万円 | ほぼなし | 初期費用とほぼ同額 |
AGA治療薬 | 初診料のみ | 6万円~18万円 | 60万円~180万円 |
メソセラピー | 初診料のみ | 12万円~36万円 | 120万円~360万円 |
かつら | 10万円~50万円 | 5万円~10万円 | 70万円~150万円 |
増毛 | 15万円~30万円 | 30万円~60万円 | 300万円以上 |
各治療法の特性や自分のライフスタイルに合わせて選択することが重要です。自毛植毛とそれ以外の薄毛治療法の費用面を比較していきましょう。
AGA治療薬との長期コスト比較
AGA治療薬の費用は治療薬の種類や濃度によっても異なりますが、一般的には月額5,000円~15,000円程度の費用が継続的にかかります。
フィナステリドやデュタステリドなどの内服薬と、ミノキシジルなどの外用薬を併用すると月に1万円前後が相場です。10年間継続した場合、合計で120万円程度になり、自毛植毛の費用(30万円~150万円)と同等かそれ以上になることもあります。
AGA治療薬は使用をやめると効果が失われるため、継続的な費用負担が必要となります。一方で自毛植毛は手術に必要な費用が高い点がデメリットですが、一度の施術で半永久的な効果が期待できるため、長期的に見れば費用対効果が高い場合があります。
AGA治療薬は薄毛の進行を抑制・改善する効果がありますが、失った髪を取り戻す効果は限定的で、自毛植毛ほどの劇的な変化は期待できません。薄毛の状態や予算に応じて、両者を併用するケースも少なくありません。
メソセラピー・HARG療法との費用比較
メソセラピーやHARG療法などの注入治療は、1回あたり1万5,000万円~6万円程度で、効果を維持するには2~3ヶ月に1回の施術が必要です。年間で4~6回施術を受けると、年間費用は12万円~36万円ほどになります。
5年継続すると60万円~180万円になり、自毛植毛(30万円~150万円)と比較すると同等かそれ以上の費用がかかる場合があります。
これらの注入治療は、既存の毛髪を太くする効果や抜け毛を減らす効果はありますが、すでに失われた部分に新しく毛髪を生やす効果は限定的です。自毛植毛に比べて回復期間がほとんどないメリットがありますが、継続的な通院と費用が必要になります。
薄毛の初期段階や軽度の場合はこれらの治療法が適していますが、進行した薄毛には自毛植毛の方が効果的なケースが多いです。
かつら・増毛との費用対効果の違い
かつらの費用は品質によって大きく異なり、オーダーメイドの高品質なものだと10万円~50万円程度の初期費用がかかります。さらに3~6ヶ月ごとのメンテナンスが必要で、年間で5万円~10万円程度の維持費がかかります。
増毛は初回施術費用が15万円~30万円程度で、1~2ヶ月ごとのメンテナンスに1回5万円前後が必要です。
10年間継続すると、かつらは初期費用とメンテナンス費用を合わせて70万円~150万円以上、増毛は初期費用とメンテナンス費用を合わせて300万円以上になることもあります。
かつらや増毛はすぐに見た目を改善できる点がメリットですが、脱着や異物感などの日常生活の制限や、継続的なメンテナンス費用が必要です。
自毛植毛は初期費用は高いものの、自分の毛髪が生える状態になるため違和感がなく、長期的には費用対効果が高い傾向があります。
自毛植毛の費用を安く抑える方法
自毛植毛は効果的な薄毛治療法ですが、費用面で躊躇する方も少なくありません。しかし、工夫することで自毛植毛の費用を安く抑えられます。
一例を挙げると、以下のような方法で費用を抑えることが可能です。
- 早期治療による総グラフト数の削減
- クリニックのキャンペーン活用
- 複数院での比較検討
- モニター制度の利用
ここからは、自毛植毛の費用を抑える方法の詳細をみていきましょう。
早期治療による総グラフト数の削減
自毛植毛の費用を抑える1つめの方法は、「早期治療」です。薄毛は進行性であるため、早い段階で自毛植毛を行うことで総費用を抑えられます。
初期段階では必要なグラフト数が少なく済むため、500~1,000グラフト程度で対応可能なケースも多いです。これにより15万円~50万円程度の費用で済む場合があります。
一方、薄毛が進行すると2,000~3,000グラフト以上が必要になり、100万円を超える費用がかかることもあります。
また、早期治療では既存の毛髪と新たに植毛した毛髪が自然に馴染みやすく、より自然な仕上がりが期待できます。薄毛の進行によって頭皮の状態が悪化すると、植毛の生着率が下がる可能性もあるため、結果的に追加施術が必要になるケースもあります。
早期発見・早期治療は見た目の改善だけでなく、長期的な費用対効果の面でも理にかなっています。
クリニックの割引キャンペーンを活用する
自毛植毛の費用を抑える2つめの方法は、キャンペーン活用です。多くの自毛植毛クリニックでは、定期的にキャンペーンを実施しています。新規開院記念や季節限定のキャンペーンでは、通常価格から10~30%オフになることも珍しくありません。
例えば「GW(ゴールデンウィーク)植毛キャンペーンで20%オフ」「開院10周年記念:1,000グラフト以上の施術で10万円オフ」といった内容です。キャンペーン情報はクリニックのウェブサイトやSNS、メールマガジンなどで発信されることが多いため、定期的にチェックすることをおすすめします。
また、複数人での同時予約や紹介割引などの特典があるクリニックもあります。
ただし、キャンペーン価格だけで判断せず、医師の技術力や実績、アフターケアの充実度なども総合的に評価することが重要です。安さだけを追求すると、結果に満足できず追加施術が必要になり、結果的に総額が高くなるケースもあります。
複数のクリニックでカウンセリングを受ける
自毛植毛の費用を抑える3つめの方法は、複数のクリニックでカウンセリングを受けてみることです。
自毛植毛クリニックの多くは無料カウンセリングを提供しており、これを活用することで費用を最適化できます。カウンセリングでは、自分の頭皮の状態や必要なグラフト数、最適な術式について専門家の意見を聞くことができます。
質問リストを事前に準備し、施術費用の内訳や追加で発生する可能性のある費用について具体的に確認しましょう。「基本料金に含まれるアフターケアの回数」「万が一の定着不良時の保証内容」なども重要なチェックポイントです。
また、同じ症状でも医師によって必要グラフト数の見積もりが異なることがあるため、その理由も確認すると良いでしょう。
ただし、あきらかに「合い見積もりするためだけにカウンセリングを利用する」のは避けましょう。カウンセリングは無料でも、予約キャンセルが続くとブラックリスト入りする可能性もあるため、真剣に検討している場合のみ予約するようにしましょう。
モニター制度の利用方法
自毛植毛の費用を抑える4つめの方法は、クリニックが募集するモニターに応募することです。一部のクリニックでは症例写真撮影用のモニターを募集しており、通常価格の30~50%オフになることもあり、大きな費用削減につながります。
モニターになるには、クリニックのウェブサイトやSNSでの募集情報をチェックし、応募フォームから申し込むのが一般的です。条件として「定期的な通院が可能」「施術前後の写真撮影に同意」「症例として写真を公開することに同意」などがあります。
応募者多数の場合は選考があり、典型的な薄毛パターンやクリニックが症例として欲しい特徴を持つ方が選ばれやすい傾向があります。
ただし、モニターになるとインターネットで素顔が公開される可能性がある点に注意が必要です。プライバシーの観点から顔出しNGにできますが、それでも写真公開に抵抗がある方には不向きです。
自毛植毛の費用の支払い方法
自毛植毛は高額な医療行為のため、支払い方法も検討事項の要素です。一般的には一括払いや分割払い、医療ローン、クレジットカード払いなど複数の選択肢があります。
各支払い方法にはメリット・デメリットがあり、自分の経済状況に合わせて選択することが大切です。
ここからは、自毛植毛の費用の支払い方法ごとの特徴やメリット・注意点を解説します。
一括払い・分割払いは多くのクリニックで用意されている
自毛植毛の支払い方法で一般的なものは「一括払い」「分割払い」の2つです。一括払いは施術日や初回来院時に全額を支払う方法で、分割手数料がかからないメリットがあります。
一方の分割払いは、「3回払い」「6回払い」といったように、費用を毎月分割して支払う方法です。クリニック独自の分割プランでは初回に30~50%の頭金を支払い、残りを3~6回に分けて支払うパターンが多いです。月々の支払い負担を抑えられるメリットがありますが、手数料が発生するデメリットがあります。
一括で支払える余裕があれば手数料がかからない一括払いがお得ですが、資金計画に合わせて最適な方法を選びましょう。
一部のクリニックでは医療ローンも提供あり
一部のクリニックでは、金融商品である「医療ローン」を提供しています。自毛植毛などの自由診療の費用を分割払いにできる専用のローンサービスです。
医療ローンの金利は年率3~15%程度で、審査の難易度や金利はローン会社によって異なります。クリニック提携の医療ローン会社であれば、その場で申し込みから審査、契約までできることが多いです。
分割回数は自分の月々の支払い能力に合わせて選びますが、長期になるほど総支払額は増加します。例えば100万円の施術を12回払いにすると月々約8.8万円、36回払いなら月々約3.2万円ですが、金利負担は増えます。
医療ローンを選ぶ際のポイントは、金利の低さ、手数料、繰り上げ返済の可否などです。
また、クリニックによっては金利手数料を負担してくれる「無金利キャンペーン」を実施している場合もあるので、確認するとよいでしょう。
クレジットカード払いは事前に利用限度額の確認が必要
3つめの支払い方法はクレジットカード払いです。多くの自毛植毛クリニックではクレジットカード払いに対応しており、VISA、MasterCard®、JCB、American Expressなどの主要カードが利用できます。
クレジットカード払いのメリットは、ポイントやマイルが貯まることや支払いの手続きが簡単なことです。高額な自毛植毛費用をカード払いにすれば、数千〜数万ポイントが貯まる場合もあります。
また、一部のカードではリボ払いや分割払いにも対応しており、毎月の支払いを調整できます。ただし、クリニックによってはカード払いに対応していない場合もあることや、カードの利用限度額によっては使用できない場合があるため、事前に確認が必要です。
自毛植毛の費用を安く抑える方法
自毛植毛は一度施術を受ければ長期間効果が持続する治療法ですが、その仕上がりや満足度はクリニック選びによって大きく変わってきます。
安さだけで選ぶと後悔するケースも少なくないため、長期的な視点での選択が大切です。
ここからは、自毛植毛を依頼するクリニックを選ぶ際に比較したいポイントを紹介します。
複数のクリニックの費用を比較検討する
自毛植毛は医師の技術や施術方針によって結果が大きく異なるため、複数のクリニックを比較検討することが非常に重要です。
一般的に3~5院程度のクリニックでカウンセリングを受け、見積もりや施術プランを比較することをおすすめします。同じ薄毛の状態でも、クリニックによって必要グラフト数の見積もりが1.5~2倍違うこともあります。
また、施術範囲のデザイン方針や密度設計、生え際のデザインなども医師によって考え方が異なるものです。各クリニックのカウンセリングで得た情報を表にまとめて比較すると、判断しやすくなります。
各クリニックを比較するときは、以下のような項目を比較すると違いがわかりやすいでしょう。
- 費用
- 必要グラフト数
- 術式
- 術後の痛みや腫れの程度
- 回復期間
- アフターケアの内容
- 保証制度 など
実際に医師と話すことで相性や信頼感も確認でき、長期的なパートナーとして適切かどうかの判断材料になります。
費用や施術以外のメリットを比較する
クリニックを選ぶ際は自毛植毛の費用や施術の内容ばかり気にしがちですが、ほかにも比較するべきところは多くあります。
例えば、自毛植毛を担当してくれる担当医の「実績や経験」。自毛植毛の成功には医師の技術力が大きく影響します。実績ある医師を選ぶために、施術件数(年間100件以上が目安)や経験年数(5年以上が望ましい)をチェックしましょう。
また、症例写真を確認し、特に自分と似た症状の患者の症例があるかどうかもポイントです。アフターケアの充実度も重要で、移植した毛髪の生着率を高めるために適切なフォローアップが必要です。
術後の通院スケジュールや対応内容、緊急時の連絡体制などを事前に確認しておくことをおすすめします。設備の充実度や衛生管理も重要なチェックポイントで、最新の機器を導入しているクリニックは精度の高い施術が期待できます。
実際にカウンセリングを受けるとクリニックの雰囲気や清潔さまで判断できるため、気になるクリニックは無料カウンセリングに積極的に参加しましょう。
自毛植毛の費用に関するよくある質問
最後に、自毛植毛の費用に関してよくある質問と回答をまとめました。
自毛植毛を検討しているのに費用面で悩みがある方は、ぜひ読み進めて下さい。
自毛植毛は保険適用が可能?
いいえ、自毛植毛は一般的に保険適用外の自由診療となります。健康保険では薄毛は「疾病」ではなく「容姿の改善」と見なされるため、基本的に保険適用されません。
例外として、事故や火傷による脱毛、手術痕の修復など、明確な医学的理由がある場合に限り、一部保険適用される可能性があります。ただしこのようなケースは極めて稀で、医師の診断と保険会社の審査が必要です。
自毛植毛は医療費控除の対象になる?
自毛植毛は美容目的ではなく、薄毛症状の治療として行う場合、医療費控除の対象となる可能性があります。
医療費控除とは、1年間(1月1日から12月31日)に支払った医療費が10万円(所得の合計額が200万円まで方は、所得の合計額の5%)を超えた場合、確定申告をすることで所得税の一部が還付される制度です。
自毛植毛を医療費控除の対象とするためには、医師による「薄毛症(男性型脱毛症・女性型脱毛症など)の治療」としての診断書や領収書が必要です。医療費控除を申請する際には、クリニックから発行される領収書に「治療」目的であることが明記されているか確認しましょう。
純粋な美容目的と判断される場合は適用されないため、治療目的であることを明確にしておくことが重要です。
参照元:医療費控除を受ける方へ|国税庁
施術後の定着率は?追加費用はかかる?
自毛植毛後の毛髪の定着率は施術の成否を左右する重要な要素です。一般的な定着率は80%程度で、医師の技術や術式、患者の体質や術後のケアによって変動します。
参照元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
定着率が低く、期待した効果が得られなかった場合の対応はクリニックによって異なります。例えば一定期間内(通常6ヶ月~1年)であれば、保証制度として追加施術を割引価格や無料で行ってくれる場合があります。
「定着率が悪く明らかに生着が確認できない場合、1年以内なら無料で再手術」といった保証内容は契約前に必ず確認し、書面で残しておくことをおすすめします。
また、定着率を高めるためには術後の指示を守り、定期的なアフターケアを受けることが重要です。
自毛植毛の成功率を高めるためにできることは?
自毛植毛の成功には、施術前の準備から術後の過ごし方まで、患者自信の努力も重要です。
自毛植毛をすると決めたら、以下のような対応を心がけましょう。
- 飲酒や喫煙を控える
- 施術当日の服装を着脱しやすいものにする
- 術後は医師の指導を守って洗髪する
- 術後は激しい運動や飲酒を避ける
また、移植した毛髪が生えるまでには3~6ヶ月かかるため、焦らず経過を見守ることも重要です。定期的な通院でアフターケアを受け、異常があれば早めに相談することで、問題を最小限に抑えられます。
術後のアフターケア費用はどのくらい?
自毛植毛後のアフターケアは生着率と仕上がりに大きく影響するため、その内容と費用を把握しておくことが重要です。
多くのクリニックでは基本的なアフターケア(2~3回程度の診察や洗髪指導)は施術費用に含まれています。標準的なアフターケアスケジュールは、術後1~2日目の初回診察、1週間後の抜糸、1ヶ月後の経過観察となっています。
追加で必要になる可能性があるアフターケアとしては、頭皮マッサージ(1回5,000円~10,000円)、育毛メソセラピー(1回3万円~5万円)、LED治療(1回1万円~2万円)などがあります。
また、術後に処方される薬(抗生物質や消炎鎮痛剤など)の費用は別途かかることが多く、5,000円~1万円程度が目安です。
クリニックによってはアフターケアパッケージを別途販売しているところもあるため、必要性と費用対効果を検討した上で選択するとよいでしょう。
費用だけでクリニックを選ぶのはNG?
自毛植毛クリニックを費用の安さだけで選ぶことは、長期的に見て逆効果になるケースが少なくありません。
極端に安い価格設定の場合、経験の浅い医師による施術、アフターケアの簡略化などがその背景にあることが多いです。結果に満足できず再施術が必要になると、総額ではむしろ高くつくこともあります。
良心的なクリニックでは、適正な価格設定をしている理由を丁寧に説明してくれるはずです。極端に高額なクリニックも同様に注意が必要で、ブランド料や広告費用が上乗せされている可能性があります。
適正価格かどうかを判断するためには、複数クリニックの見積もりを比較し、中央値を参考にするとよいでしょう。
自毛植毛の効果はどのくらい持続する?
自毛植毛の効果の持続性は費用対効果を判断する上で重要なポイントです。正しく施術された自毛植毛の効果は基本的に半永久的で、移植された毛髪は後頭部の遺伝的特性を保ったまま生え続けます。
ただし、元々薄毛になりやすい特性を持つ方の場合、移植していない周囲の毛髪が将来的に薄くなる可能性はあります。移植した毛髪自体が抜け落ちることは稀ですが、加齢による毛髪の細さの変化や色の変化は起こり得ます。
まとめ:自分に最適な自毛植毛プランを選ぼう
自毛植毛は個々の症状や希望、予算に合わせてカスタマイズできる治療法です。最適なプランを選ぶには、自分の薄毛のタイプや進行度、頭皮の状態を正確に把握することが大切になってきます。
また、どの部位をどれくらいの密度で改善したいのか、自分の期待値を明確にすることも重要です。予算面では総額だけでなく、支払いプランや長期的な費用対効果も検討すべきポイントです。
複数のクリニックで相談し、医師との相性も含めて総合的に判断することで、後悔のない選択ができるでしょう。