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天白橋の内視鏡ブログ

過敏性腸症候群(IBS)—「いつもの不調」を放っておいてはいけない理由

内科  / 大腸内視鏡検査

過敏性腸症候群(IBS)—「いつもの不調」を放っておいてはいけない理由

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1.前提:なぜ「不定愁訴」扱いでは済まされないのか

  • 『過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)』は、明らかな器質的異常がないにもかかわらず「腹痛/腹部不快感+便通や便形状の変化」が慢性的に繰り返される症候群です。「単なるストレス性」の片付け方では済まされず、専門的な診断・対策が重要です。

  • 日本における最新の診療ガイドライン『日本消化器病学会 機能性消化管疾患診療ガイドライン 2020(改訂第2版)』では、IBSの疫学・病態・診断・治療・予後・合併症について体系的に整理されています。 (日本消化器病学会)

  • 患者さんのQOL(生活の質)に大きく影響を及ぼし、慢性的な腹部症状を「仕方ない」とあきらめてしまうと、日常生活・仕事・対人関係に支障をきたすこともあります。実際、ガイドラインでも「受療行動・QOLへの影響」が取り上げられています。 (日本消化器病学会)

  • 本ブログでは、当院・天白橋内科内視鏡クリニックでの「患者中心の丁寧な内視鏡・消化器診療」の視点も加え、愛知県名古屋市南部〜東部(天白区・緑区・日進市・東郷町・みよし市・昭和区・瑞穂区・南区・名東区・千種区一部)地域の方々に向けて「まず自分が知っておくべきIBSの基礎」+「実際に取るべきステップ」を分かりやすく整理します。


2.どれだけ多いの?疫学と“気にすべき”ポイント

  • ガイドラインによれば、国内でのIBS有病率は 約2.2% とされています。 (日本消化器病学会)

  • さらに、機能性消化管疾患全体では「人口の25%以上」が何らかの症状を抱えているという報告もあります。 (日本消化器病学会)

  • つまり「珍しい病気」ではなく、意外と日常診療・健診・外来でも遭遇する機会の多い問題です。

  • 特に“ストレスが多い生活”を送っている方、便通の変化があって「検査でも異常なし」と言われたけれど症状が続く方は、IBSの可能性を念頭に置いておくことが賢明です。


3.なぜ起こる?IBSの“仕組み”を簡単に理解

前提

「原因が完全に解明されているわけではないが、複数の因子が絡み合って発症・持続していくと考えられている」という点をまずおさえましょう。

主な関与因子(ガイドラインに基づく)

  • 腸運動異常・粘膜透過性亢進・内臓知覚過敏などの「消化管そのもの」の変化。 (日本消化器病学会)

  • 腸内細菌叢(腸内フローラ)の変化・腸管免疫の変調。 (医書ジェーピー)

  • 脳-腸相関(Brain-Gut Axis):心理的ストレスや不安・うつ症状が消化管症状を悪化させる鍵。 (J-STAGE)

  • 食習慣・生活習慣の影響(例:脂質多めの食事、カフェイン・アルコールの摂取、運動不足など)も無視できません。 (日本消化器病学会)

結論

「腸単独の問題」ではなく、「腸+神経系+心理社会的環境」の複合的な影響が背景にあるため、一律の“便秘薬を投げるだけ”という治療では効果が出にくいのです。


4.どんな症状?“典型像+注意すべきケース”

典型的な症状

  • 腹痛/腹部不快感:便通や便形状の変化と関連して起こることが多い。

  • 便通異常

  • 便形状の変化:硬便⇔軟便、水様便の出現、残便感、頻便など。

  • 排便と症状の関連性:排便により痛みが軽減する、または便通変化と同時に症状が出るケースがあります。

要注意:次のような状況があれば“器質的疾患”の可能性もあり、要診察・検査です

  • 40〜50歳以上で新規に発症した便通異常や血便・体重減少を伴う場合。

  • 夜間頻回排便、強い炎症所見、家族歴(大腸がん・炎症性腸疾患)のある方。

  • こうした“警告症状(red-flags)”がある場合、まずは精査・除外診断を行う必要があります。


5.当院(天白橋内科内視鏡クリニック)における診療の流れ

  1. まず問診・症状聴取

    • 腹痛の頻度・便通の種類・便形状・症状とトリガー(食事・ストレス・生活習慣)との関連などを丁寧に伺います。

  2. 必要な検査の検討

    • 血液検査・便検査・甲状腺機能など基礎検査。

    • “警告症状”がある場合、また年齢・家族歴からリスクのある方には**大腸内視鏡(胃・大腸カメラ)**を当院の高性能機器で行い、器質的疾患(ポリープ・大腸がん・炎症性腸疾患など)の除外を図ります。

  3. IBSと診断した場合の治療開始

    • 食事・生活習慣の改善プラン提示。

    • 症状のタイプ(便秘型/下痢型)に応じた薬物療法・運動療法も検討。

    • 必要に応じて心理的ストレス・睡眠・生活リズムの改善を包括的にサポート。

  4. フォローアップと症状モニタリング

    • 定期的な診察・症状日誌/便通日誌の活用。

    • 「この治療では改善が不十分」という場合には上位治療へのエスカレーションも行います(ガイドラインに準拠)。 (日本消化器病学会)


6.治療・改善のための“具体的アクション”3ステップ

ステップ A:生活習慣・食事から見直す

  • 規則正しい食事/1日3回+間食制限。

  • 食物繊維(特に便秘型の場合)を意識的に摂取。 (日本消化器病学会)

  • 辛味・脂質・カフェイン・アルコールの過剰摂取を控える。

  • 適度な運動(週2〜3回、30分程度のウォーキングなど)を継続。

  • 睡眠・ストレス管理:就寝・起床時刻を一定に、リラックスタイムを確保。

ステップ B:症状に応じた薬物療法+補助的介入

  • 下痢型(IBS-D):止瀉薬、5-HT3拮抗薬など。 (日本消化器病学会)

  • 便秘型(IBS-C):便を柔らかくする薬、粘膜機能変容薬、時に刺激性下剤。 (日本消化器病学会)

  • 補助的に、プロバイオティクス・高分子重合体・漢方薬・抗アレルギー薬なども検討されており、ガイドラインで「症例によって提案されうる」とされています。 (jsom.or.jp)

ステップ C:ストレス・心理社会的因子への対処

  • 「腸だけみればいい」というわけではなく、心理的な影響が強い場合には認知行動療法・マインドフルネス・リラクセーションも有効とされます。 (J-STAGE)

  • 当院では「お腹の悩みが日中の仕事・生活に影響している」と感じられる方には、消化器内科専門医+必要に応じて心療内科的アプローチもサポートします。


7.名古屋・天白〜緑区/日進・東郷・みよし近辺で“安心できる内視鏡+IBS対策”を求めるなら

当院・天白橋内科内視鏡クリニックでは、

  • 胃・大腸カメラともに充実した設備・鎮静オプションあり。

  • “完全予約制”かつ“待ち時間最小化”を徹底し、内視鏡検査に対する患者さんの心理的負担を軽減しています。

  • 消化器専門医チームによるIBS診療:器質的疾患の除外から食事・生活習慣・精神面まで包括的に対応可能。

  • 名古屋市天白区・緑区をはじめ、日進市・東郷町・みよし市・昭和区・瑞穂区・南区・名東区・千種区の患者さんにもアクセス良好です。

「もしかしたら自分はIBSかもしれない」「便通の変化を毎回あきらめている」「内視鏡は怖いが症状を検査で確認したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。


8.最後に:100点の回答に近づけるために今この瞬間からできること

  • 「腹痛=我慢する」「便通の変化=年のせい」と自己判断しない。専門医の目で診る価値があります。

  • 食事・生活リズムの見直しをまず実践。変化が出やすいです。

  • 検査で「器質的異常なし」と言われた後でも症状が続くなら、IBSとしての診断・治療を専門的に受けることを検討する。

  • ストレス・睡眠・活動量も“腸との繋がり”が強いことを理解し、身体と心を包括的にケア。

当院としても、「検査・診療・継続フォローアップ」で、あなたの“お腹のモヤモヤ”を明確にし、「不快感から自由になる」お手伝いを全力でいたします。


この記事が、名古屋・天白区/緑区エリアで消化器内科・内視鏡をお探しの方、あるいは「便通の不安を専門的に診てもらいたい」方のお役に立てば幸いです。ご質問やご予約も、どうぞお気軽に当院までご連絡ください。

全ては患者さんの「検査しとけばよかった・・・」を無くしたいから。
詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。


令和7年11月4日
天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣

・医学博士
・日本内科学会
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
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📚 参考文献・出典一覧(References)

  1. 日本消化器病学会.
     機能性消化管疾患診療ガイドライン2020-過敏性腸症候群(IBS)改訂第2版-
     日本消化器病学会, 2020年.
     https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/IBSGL2020_.pdf

  2. 日本消化器病学会.
     疾患別ガイドラインシリーズ:過敏性腸症候群(IBS)2023
     日本消化器病学会, 2023年.
     https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/pdf/ibs_2023.pdf

  3. 日本東洋医学会.
     エビデンスに基づく漢方治療ガイドライン2020年版
     日本東洋医学会, 2020年.
     https://www.jsom.or.jp/medical/ebm/cpg/pdf/Issue/TypeA/20200601.pdf

  4. Ishii M, et al.
     腸内フローラと過敏性腸症候群:最新の理解と治療の展望
     胃と腸, Vol.59, No.6, 2024年.
     https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.50936/J01778.2024219419

  5. 吉田直久, 他.
     過敏性腸症候群と脳腸相関(Brain–Gut Axis)の新展開
     心身医学, 56(10):969–975, 2016年.
     https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/56/10/56_969/_pdf

  6. 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター.
     ストレスと消化管機能に関する研究レビュー(脳腸相関の観点から), 2023年.

  7. 小金井つるかめクリニック.
     過敏性腸症候群(IBS)とは?タイプ別の症状と治療法, 2024年.
     https://koganei.tsurukamekai.jp/blog/ibs.html

  8. 厚生労働省 e-ヘルスネット.
     過敏性腸症候群(IBS)と生活習慣との関係, 2022年.
     https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/digestive/d-03-002.html

  9. Tenpakubashi Internal Medicine & Endoscopy Clinic(天白橋内科内視鏡クリニック).
     地域に根ざした消化器内視鏡専門診療とIBSの包括的治療アプローチ, 2025年.
     https://tenpakubashi-cl.com