虚血性腸炎とは?血便が出た!原因や予防策、検査方法は?専門医がお答えします。
みなさんお待たせしました。専門医がお答えシリーズです!
お待たせし過ぎたかもしれませんし、誰もお待ちではないかもしれません。
今回も専門医がお答えシリーズ大腸編「虚血性腸炎について」です。
と、その前に・・・
当院に受診しようか迷われている方で、当院のGoogle口コミに対する返事に違和感を感じる方もおられると思います。
一度当院の口コミに関する考え方をお目通し頂き、ご理解いただけるのであれば院長と相性がいいと思います。
口コミに対する思い→ここから
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虚血性腸炎とは?
本日のお題は予告通り「虚血性腸炎」です。突然ですがこんな症状ありませんか?
- 腹痛がどんどん強くなって、吐き気や嘔吐を起こしている
- 下痢で何度もトイレにいき、だんだん血の混じった下痢に
そのような症状であればもしかして「虚血性腸炎」かもしれません。
虚血性腸炎とは、大腸への血液の流れが悪くなったり、詰まったりしてしまうことによって、大腸の粘膜に炎症や潰瘍が生じてしまう病気です。
腹痛や下痢、血便が虚血性腸炎の代表的な症状ですが、前触れもなく突発的に起こることが特徴です。
ご高齢の方に多い病気だと言われていましたが、最近では若い女性での発症も多くなりました。
ほとんどは一過性のものですが、大腸がんや潰瘍性大腸炎など、ほかの病気の症状とも似ており、再発することも多いことから、疑いがある場合には早めにご相談ください。
ではもう少し詳しく見ていきましょう。
■目次
虚血性腸炎の症状は?
- 腹痛
- 冷や汗
- 吐き気・嘔吐
- 下痢
- 潜血便・下血
- 微熱
多くの場合、虚血性腸炎は急に強い腹痛から始まります。
左下腹部に痛みが生じることが多く、どんどん痛みが強くなると共に冷や汗を伴うことがあり、吐き気や嘔吐を起こします。
その後、便意によって排泄すると、水のような下痢が何度も見られ、だんだん血の混じった下痢になっていきます。
下痢に混じった血は、肉眼では確認できないような潜血便のこともありますが、便器が真っ赤に染まってしまうくらいの下血を起こすこともあります。そのため、驚いて救急車を呼ばれる方も少なくありません。
また、微熱がみられることも多いです。
虚血性腸炎の原因はなに?
虚血性腸炎の原因には下記のようなものが挙げられます。
- 便秘
- 高血圧・糖尿病などの生活習慣病
- ストレス
- 食生活
- 運動不足
- 生活リズムの乱れ
虚血性大腸炎の原因として、もっとも頻度の高いものとして挙げられるものは「便秘」です。
血液の流れが悪くなっている大腸の粘膜に、便秘によって強く腹圧をかけることによって、さらに血流が低下してしまい発症させてしまうのです。
そのため、便秘が原因によって発症した方であれば、改善してからも再発させないために排便コントロールが大切になります。
また、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高脂血症などの生活習慣病も、発症リスクが高くなると考えられています。
さらに、脂っこいものをよく食べたり、ストレスがたまっていたり、運動不足、生活リズムが乱れていることでも発症の大きなリスクになります。
それらの要因によって血がドロドロになってしまい、大腸への血流障害を生じさせてしまうからです。
虚血性腸炎の検査方法は?
虚血性腸炎を診断するために現時点で考えられる検査は下記の通りです。
- 内視鏡検査(大腸カメラ)
- 血液検査
- 腹部エコー(腹部超音波検査)
- 注腸X線検査
- 腹部CT
突発的な腹痛や下痢、血便などといった症状に対する一連の流れによって虚血性腸炎を疑うことになります。
確定診断をするために、検査を行います。
■内視鏡検査(大腸カメラ)
虚血性腸炎の特徴である大腸のS状結腸から下行結腸に、粘膜の炎症や出血、潰瘍などの症状を確かめることができ、病変の範囲も確認することができます。
【大事なこと】
最近では胃カメラから洗腸剤を投入する、下剤を飲まない大腸カメラを売りにしているクリニックが散在しますが、当院は対応しておりません。理由として、いいブログを発見したのでご紹介させていただきます。
かくたに内視鏡消化器内科クリニック 角谷宏先生
→危険!警告!不正!下剤を飲まない大腸内視鏡検査
■血液検査
白血球やCRPを調べることによって、下血による貧血や炎症の程度を確かめることができます。
■腹部CT
CTでは下行結腸からS状結腸にかけて腸管が分厚くなっているのがわかり、ちゃんとした消化器内科医でしたら一瞬でわかります。ただ大腸癌が隠れていないとも限りませんので、初回の場合は大腸カメラをすることが多いです。
虚血性腸炎の治療方法は?
虚血性腸炎は一過性のものが多く、ご自宅で安静に過ごしながら、服薬治療によって経過を観察していきます。
腸を安静にすることが一番大切な治療であって、ほとんどの場合、数日から1週間程度で症状が改善します。
治療は抗生物質を投与し、症状が改善するまでは、できる限り大腸に負担をかけないように食事管理を行い、消化の良いものを少量から摂るようにしていきます。
痛みが強いような重症の場合には入院が必要となるケースもあります。
腸を安静に保つために絶食が必要となり、補液点滴によって脱水を防ぎながら、抗生剤の点滴投与を行い、経過を観察します。また、同時に原因となっている生活習慣病などの疾患がある場合には、虚血性腸炎を再発させないためにもコントロールが不可欠となります。
患部の血流が阻害されており、痛みや下痢などの症状が長期間にわたって生じているような場合には、外科的手術によって患部を切除することもあります。
虚血性腸炎の原因はなに?
虚血性腸炎は一過性のものや生命の危険が少ないものがほとんどです。
症状の原因が便秘である場合や、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が合併している場合には、再発に注意が必要です。便秘はもっとも多くみられる原因です。
そのため、改善してからも良い排便習慣を保っておくことはとても重要です。
また、普段から食物繊維の多い食生活を心がけ、運動の習慣、ストレスをためない生活によって腸を労わることも大切になります。生活習慣病が合併している場合には、動脈硬化が虚血性腸炎の原因となってしまいますので、治療を持続することで再発を予防しましょう。
全ては患者さんの「検査しとけばよかった・・・」を無くしたいから。
詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。
令和3年10月5日 天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣
・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
・がん治療認定医
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