頭頂部の薄毛の見分け方は?地肌透けの目安を解説
鏡では見えにくい頭頂部は、薄毛の変化に気づきにくい部分です。 「つむじの周りが以前より目立つような気がする」と感じても、自分では判断が難しいことも多いでしょう。
この記事では、頭頂部の薄毛が進んでいるかどうかを確認するためのポイントを紹介します。 地肌の透け方、髪の密度の変化、髪の流れの乱れなど、日常の中でチェックしやすいサインを分かりやすくまとめました。
また、頭頂部の薄毛が進む一般的な要因や、生活の中で取り入れやすいケアの工夫なども解説しています。早い段階で気づくことで、専門機関への相談や生活習慣の見直しなど、より適切な対応につなげやすくなります。
監修者

天白橋内科内視鏡クリニック院長
野田 久嗣 Hisatsugu Noda
医学博士
日本内科学会認定内科医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
がん治療認定医
頭頂部の薄毛を見分ける3つのサイン

頭頂部の薄毛は、自分では確認しにくい部分のひとつです。 気づいたときにはすでに薄毛が進んでいた、というケースも少なくありません。
日本皮膚科学会の調査によると、日本人男性の約30%が薄毛の悩みを抱えているとされています。 年代別では、20代で約10%、30代で約20%、40代で約30%、50代以降では40%以上に見られるとの報告があります。
薄毛の変化に早めに気づくことで、専門機関への相談や生活習慣の見直しなど、今後の対応を検討しやすくなります。
ここでは、頭頂部の薄毛に気づくための主なサインを3つ紹介します。毎日のケアやセルフチェックの参考にしてみてください。
地肌の透け具合の変化
頭頂部の地肌が透けて見えるように感じたら、髪のボリュームが変化しているサインかもしれません。 健康な状態の髪は密度が保たれており、つむじの中心以外では頭皮が目立ちにくいものです。
一方で、髪の本数や太さが変化すると、つむじの周辺部分から少しずつ地肌が見えやすくなることがあります。 明るい場所や自然光の下で鏡を使って確認すると、透け具合を客観的に観察しやすいでしょう。
側頭部や後頭部と比べて、頭頂部の地肌がより目立つと感じる場合は、髪の密度が部分的に変化している可能性があります。
明るい場所での頭皮チェックが基本
頭頂部の地肌の見え方を確認するときは、明るい環境で観察することがポイントです。
自然光の下で見ると、髪の密度や頭皮の透け具合をより客観的に確認しやすくなります。 合わせ鏡を使って頭頂部をいろいろな角度から確認したり、スマートフォンのカメラ機能で写真を撮影したりすると、自分では見えにくい部分もチェックできます。
時間をおいて撮影した写真を見比べることで、変化の有無を把握しやすくなるでしょう。 もし、以前より地肌の見え方が変わったと感じる場合は、髪の状態が一時的に変化している可能性もあります。
ストレスや生活習慣、季節の変化など、さまざまな要因が影響することもあるため、気になるときは医師や専門機関に相談して確認してもらうと安心です。
濡れた髪での確認方法
頭皮の見え方を確認するときは、髪を濡らした状態で観察するのも一つの方法です。 濡れた髪は1本ずつがまとまりやすく、乾いたときよりも髪の隙間ができやすいため、頭皮の透け方をより客観的に確認できます。
入浴後やシャワーのあとなどに、鏡を使ってつむじ周辺や頭頂部をチェックしてみましょう。 乾いた髪のときには気づきにくい部分でも、濡れた状態では髪の密度や流れの違いを観察しやすくなります。
髪の太さと密度の変化
髪の太さや密度の変化は、頭頂部の状態を知るうえで参考になるポイントのひとつです。
一般的に、健康な髪はある程度の太さとハリを保っていますが、生活習慣や加齢、ストレスなどの影響で、細い毛が増えたり、全体のボリュームが変わったりすることがあります。
髪の密度が変化すると、以前よりも地肌が見えやすく感じることもあります。 特につむじや頭頂部は光が当たりやすい位置にあるため、他の部位よりも髪の隙間が目立ちやすくなる傾向があります。
側頭部との比較で判断する
頭頂部の髪の密度を確認するときは、側頭部や後頭部と比べてみると違いが分かりやすいことがあります。
もし頭頂部の髪が全体的に細く見えたり、ボリュームが少なく感じたりする場合は、髪の状態が変化している可能性があります。一般的に、頭頂部は日光を受けやすく、紫外線や乾燥の影響を受けやすい部位でもあります。
また、髪の太さや成長には個人差があり、生活習慣やストレス、加齢などの要因によっても変化することがあります。
側頭部や後頭部の髪と比較すると、頭頂部のボリュームの違いに気づきやすいでしょう。 髪型がまとまりにくくなったり、頭頂部が平らに見えたりする場合も、髪のハリや密度の変化が影響していることがあります。
定期的に写真を撮って確認することで、自分では気づきにくい変化を客観的に見られるようになります。
抜け毛に細い毛が増える
抜け毛の中に細く短い毛が目立つようになった場合、AGA(男性型脱毛症)が進行している可能性があります。
通常、健康な毛髪は十分に成長してから抜け落ちますが、AGAが進行すると髪の成長期が短くなり、太く長く育つ前に抜けてしまうのです。
また、AGAでは毛包(毛を生やす器官)が徐々に小さくなる「毛包のミニチュア化」が起こり、毛根の丸みが減って細くなることがあります。こうした細く短い抜け毛の増加は、髪の成長サイクルの乱れを示すサインと考えられています。
つむじ周辺の毛流れの変化
つむじ周辺の毛流れが乱れたり、渦がはっきりしなくなったりするのも、頭頂部の薄毛が進行しているサインといえます。
健康な頭皮では、つむじの渦が明確で毛流れが一定していますが、薄毛が進むと髪が細くなり、全体のボリュームが減少して毛の流れがぼやけた印象になります。
また、髪のハリやコシが低下することでスタイリングが決まりにくくなるなど、日常の変化として気づきやすい点も特徴です。
渦の境界線がぼやける
つむじの渦の境界線が以前よりぼやけて見える場合は、髪の状態が変化しているサインかもしれません。初期の段階では、つむじ周辺の毛流れがはっきりせず、全体的にぼんやりとした印象になることがあります。
つむじが広がって見えるようになったり、渦のパターンが以前と違って見える場合は、髪の密度やボリュームの変化を確認する目安になります。
また、分け目が目立つようになったり、明るい光の下で頭皮が反射して見えたりすることも、日常の観察で気づきやすい変化です。
こうした変化に気づいたときは、まず写真で記録して以前の状態と比較するなど、客観的に観察することが役立ちます。
ボリュームが出にくくなる
頭頂部の髪のボリュームが以前と比べて変化していると感じることがあります。つむじ周辺の髪が細く柔らかくなると、髪を手で持ち上げたときに軽く感じたり、髪の量が少なくなったように見えたりすることがあります。
また、髪型をセットする際に頭頂部のボリュームが出にくいと感じる方もいます。シャンプーや入浴時に抜け毛の量が増えたように感じる場合も、髪の状態の変化として気づきやすい点のひとつです。
頭頂部の薄毛の進行段階

頭頂部の髪の状態は、時間とともに変化することがあります。早めに自分の髪の状態に気づくことで、生活習慣の工夫や専門機関への相談など、適切な対応の検討がしやすくなります。
進行段階の目安を知っておくと、自分の髪の変化をより客観的に観察でき、必要に応じて専門家のアドバイスを受ける判断に役立ちます。
初期段階の特徴
初期の段階では、つむじ周辺の髪が細くなり始め、抜け毛が増えることがあります。 頭皮が少し透けて見える場合もありますが、髪型や光の当たり方によって見え方が変わるため、自分では気づきにくいことがあります。
明るい場所で観察したり、鏡や写真を使った確認を行ったりすると、以前と比べて頭皮の見え方が変化していることに気づく場合があります。
この段階で変化に気づいた場合は、生活習慣の工夫や専門機関での相談など、髪の状態を管理するための選択肢を検討しやすくなります。
中期段階の特徴
中期の段階では、つむじ周辺の髪がまばらに見えることがあり、頭皮が以前より目立つ場合があります。 抜け毛の量が増えたり、髪の密度に変化を感じたりすることもあるため、自分の髪の状態を注意深く観察することが役立ちます。
つむじ周辺から髪の量が少なく感じる範囲が広がることもあり、頭頂部全体のボリュームが変化している場合があります。
髪を濡らしたときに頭皮の見え方が変わったり、乾かしても髪のボリュームが以前と比べて少なく感じたりすることもあります。
後期段階の特徴
後期の段階では、つむじ周辺の髪が少なくなり、頭皮が目立つことがあります。頭頂部全体の髪が細く感じられたり、ボリュームが減ったりすることもあり、つむじの位置が分かりにくくなる場合もあります。
また、後頭部や側頭部など、他の部位の髪の状態にも変化が現れることがあります。この段階では、日常生活でのセルフケアだけでは十分に変化を管理するのが難しい場合もあります。
頭頂部が薄毛になる原因
頭頂部の髪の状態には、さまざまな要因が関係しています。原因を理解することで、自分の髪の状態をより正しく把握し、日常生活での工夫や専門機関への相談など、対応の選択肢を検討しやすくなります。
AGAによる影響
頭頂部の髪の状態に影響する要因のひとつとして、AGA(男性型脱毛症)が挙げられます。AGAは、遺伝的要素や男性ホルモンの影響によって起こる脱毛症で、前頭部や頭頂部の髪に変化が現れやすいとされています。
男性ホルモンの一種であるテストステロンは、体内で5α還元酵素の作用を受けてジヒドロテストステロン(DHT)に変化します。このDHTは毛乳頭細胞に影響するとされ、髪の成長サイクル(毛周期)が変化することが報告されています。
DHTの受容体が頭頂部や前頭部に多く存在するため、AGAでは生え際やつむじ周辺の髪に変化が現れることがあります。
生活習慣の乱れ
不規則な生活や偏った食生活は、髪の状態に影響を与える要因のひとつと考えられています。睡眠不足や運動不足、暴飲暴食などの習慣は、頭頂部の髪に変化が出やすくなる場合があります。
睡眠中には成長ホルモンが分泌され、体は修復や再生を行います。睡眠不足が続くと体内のホルモンバランスが変化し、髪の状態にも影響が出ることがあると考えられています。
また、バランスの良い食事も髪の健康の維持に役立つ可能性があります。タンパク質やビタミン、ミネラルが含まれる食事を意識することが推奨されます。
喫煙や過度な飲酒は血行や栄養の巡りに影響する場合があり、髪の状態を観察する際の参考として覚えておくとよいでしょう。
頭皮環境の悪化
頭皮の状態も、髪の健康に関わる要因のひとつと考えられています。健康な頭皮は通常、肌色や薄いピンク色をしていることが多いとされています。
頭皮に赤みやべたつき、乾燥、フケの増加などの変化が見られる場合は、血行や皮膚の状態に影響が出ている可能性があります。ただし、これらの変化が必ずしも髪の量や薄毛に直結するわけではありません。
過度なヘアカラーやパーマ、熱や摩擦による刺激は、頭皮への負担となることがあるため、控えめにすることが推奨されます
頭頂部の薄毛対策
頭頂部の髪の状態が気になる場合は、生活習慣の見直しや専門機関への相談など、さまざまな対応の選択肢があります。 ここでは、頭頂部の薄毛対策として考えられる内容を解説します。
ヘアケアの見直し
頭頂部の髪の状態に変化を感じる場合は、日常のヘアケアを見直すことが参考になる場合があります。頭皮環境に応じてシャンプーを選ぶと、頭皮を清潔に保ちやすくなることがあります。
例えば以下のような使い分けが考えられます。
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頭皮が脂っぽい場合:洗浄力が比較的しっかりしたシャンプーを使用
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頭皮が乾燥しやすい場合:低刺激タイプのシャンプーを使用
お湯の温度は熱すぎないようにし、40℃前後のぬるま湯で洗うことが推奨されます。
また、指の腹を使って頭皮にやさしく円を描くようにマッサージすることで、頭皮の血流をサポートすることができます。
頭皮用の保湿ローションや美容液は、頭皮を整えるための補助として使われることがあります。
生活習慣の見直し
日々の生活習慣を整えることは、髪の健康を保つための基本のひとつと考えられています。「生活習慣」といっても幅広い内容がありますが、代表的なポイントを整理すると以下の通りです。
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栄養バランスの取れた食事
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適度な運動
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ストレスのない生活
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十分な休息と睡眠
たとえば、タンパク質やミネラル、ビタミンなどを含むバランスのよい食事は、髪の健康状態を維持するために参考になります。肉や炭水化物だけでなく、野菜や果物も取り入れることが推奨されます。
睡眠は1日6時間以上を目安に確保し、食事は1日3回、できるだけバランスよく摂ることが望ましいとされています。
週に2~3回の軽い運動も、体の巡りを整える助けとなり、ストレスの軽減にもつながる場合があります。
また、喫煙や過度な飲酒は控えることが望ましく、生活習慣全体を整えることが、髪の状態を確認する際の参考になります。
市販の育毛剤・発毛剤を活用する
頭頂部の髪の状態に変化が見られる場合、生活習慣や頭皮環境の見直しに加え、市販の育毛剤や発毛剤を選択肢のひとつとして検討することもできます。
市販製品には、主に以下のタイプがあります。
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頭皮環境を整える育毛剤
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発毛をサポートする発毛剤
発毛剤の一例として「ミノキシジル」を含む製品があります。これらは医薬品として承認されており、使用する際は用法・用量を守ることが推奨されます。
また、ミノキシジルは医師や薬剤師の指導のもとで使用されることが基本で、使用前に自分の健康状態やアレルギーの有無などを確認しておくことが大切です。
専門クリニックでの治療
市販の育毛剤や発毛剤で十分な変化が感じられない場合は、専門の医療機関で相談することも選択肢のひとつです。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」では、AGA(男性型脱毛症)の診療において、フィナステリドやデュタステリドの内服薬、ミノキシジルの外用薬などが使用される場合があると示されています。
これらの医薬品は医師の診察・判断のもとで処方されるもので、使用方法や適応は個人の健康状態により異なります。 早めに専門家に相談することで、自分に合った対応や生活習慣の工夫を検討しやすくなる場合があります。
「まだ大丈夫だろう」と自己判断せず、髪や頭皮の変化に気づいたら、一度診察を受けることが安心です。



