大腸内視鏡検査の前日の食事について
大腸内視鏡検査では、カメラのついた細い管で大腸の中をくまなく観察し、ポリープやがんなどの病変を見つける検査です。検査を正確に行い、小さな病変も見逃さないためには、検査前の腸内をきれいにすることが非常に重要になります。
腸内をきれいにするためには、検査食を摂取したり、下剤を服用して腸の中を空っぽにする必要があります。
「前日に何を食べて良いのかわからない…」
そう不安に感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、大腸内視鏡検査を明日に控えた皆様へ、前日に安心して食べて良いもの、控えた方が良いものについて、具体的にご説明いたします。
お待たせし過ぎたかもしれませんし、誰もお待ちではないかもしれません。
内視鏡といえば天白橋!天白橋内科内視鏡クリニックの院長野田です。
当院の内視鏡前日のお食事。
スタッフが試食して右の
ダルムスペースファイン
に決めました。だいぶ前に。
http://tenpakubashi-cl.com/staff/
尚、スタッフ募集中です。
https://tenpakubashi-cl.jbplt.jp/
現代社会において、大腸がんは早期発見・治療が重要視されています。その有効な手段として注目される大腸内視鏡検査ですが、検査前の食事制限が重要となることはご存知でしょうか?
実は、検査結果の精度に食事内容が大きく影響するケースがあるのです。
この記事では、大腸内視鏡検査を控えた方に向けて、前日に食べて良いもの・悪いもの、そしてコンビニやスーパーで手軽に購入できるものなどを具体的に解説していきます。検査を安心して受けるため、そして正確な診断につなげるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
大腸内視鏡検査 前日に食べて良いもの・悪いもの
検査に影響が出にくい!おすすめの食事
大腸内視鏡検査の前日は、消化がよく、腸に残りにくいものを選びましょう。
ポイントは「消化の良さ」と「腸への負担の少なさ」です。
具体的には、次のようなものがおすすめです。
- 主食: 白米、うどん、そうめん、白パンなど
- 白米は消化がよく、うどんやそうめんはツルッとした喉越しで胃腸に負担をかけにくいでしょう。
- 食パンは白パンを選び、全粒粉パンなど繊維質が多いものは避けましょう。
- 主菜: 鶏肉(皮なし)、白身魚、卵、豆腐など
- 鶏肉は皮を取り除けば脂肪分が少なく、消化吸収に優れています。
- 白身魚は脂肪が少なく、消化が良いのでおすすめです。鮭やタラなどが良いでしょう。
- 卵は良質なタンパク質を含み、消化も良いのでおすすめです。ゆで卵や卵焼きなどが良いでしょう。
- 豆腐は低カロリーで消化がよく、高タンパク質であるため、検査食に最適な食材です。
- その他: バナナ、ヨーグルト(種や皮を取り除いたもの)など
- バナナは消化に良いだけでなく、カリウムが豊富で、便秘の改善にも効果が期待できます。
- ヨーグルトには腸内環境を整える効果が期待できます。ただし、ヨーグルトに含まれる種や皮は消化が悪いため、取り除くか、避けましょう。
上記はあくまで一例であり、これ以外の食品でも問題ない場合も多々あります。迷った際は、お気軽に医師や病院スタッフにご相談ください。
避けるべき食材・飲み物リスト
大腸内視鏡検査の前日は、消化に悪いものや腸に残りやすいもの、腸管洗浄剤の効果を弱める可能性のあるものは避けるようにしましょう。
これらの食品は、検査の精度を下げたり、検査中の不快感を増したりする可能性があります。
- 繊維質の多い野菜: ごぼう、たけのこ、きのこ類、海藻類など *食物繊維は消化が悪く、腸内に残りやすいので、検査前日は控えましょう。食物繊維を多く含む野菜は、普段から積極的に摂取することで、腸内環境を整え、便秘の予防や改善に役立ちます。しかし、検査前日においては、腸内を空にすることが目的となるため、控えるようにしましょう。
- 種のある果物: いちご、キウイ、ぶどう、ベリー類など *種は消化が悪く、腸内に残ってしまう可能性があります。
- 豆類: 大豆、枝豆、納豆など
- 豆類は消化が悪く、腸内細菌によって発酵しガスが発生しやすいため、検査前に摂取すると、腹部の膨満感や不快感を引き起こす可能性があります。
- 油っこいもの: 天ぷら、揚げ物、脂身の多い肉など
- 脂肪分の多い食事は、消化に時間がかかります。
- 刺激物: 唐辛子、カレー粉、キムチ、香辛料など
- 刺激物は胃腸を刺激し、消化不良を起こしたり、下痢を引き起こしたりする可能性があります。
- アルコール: ビール、日本酒、ワインなど
- アルコールは腸の粘膜を刺激し、出血のリスクを高める可能性があります。また、脱水症状を引き起こす可能性もあり、腸内洗浄を妨げる可能性があります。
- 乳製品: 牛乳、ヨーグルト、チーズなど
- 乳製品は消化が悪く、腸内に残りやすい傾向があります。
これらの食品を避けることで、より正確な検査結果を得ることができ、検査もスムーズに進みやすくなります。
コンビニやスーパーで買えるOK食品
「仕事が忙しくて、なかなか食事の準備ができない…」
そんな方のために、コンビニやスーパーで手軽に購入できる、検査前日におすすめの食品をご紹介します。
- 白米おにぎり(具材は梅干し、鮭、昆布などシンプルなもの): コンビニやスーパーで手軽に購入できる白米おにぎりは、消化の良い食事としておすすめです。具材は、梅干しや鮭など、シンプルなものが良いでしょう。
- バナナ: 便秘解消効果も期待できるバナナは、コンビニやスーパーでも手軽に購入できます。
- カロリーメイト: 栄養価が高く、消化も比較的良いカロリーメイトも、検査前日の食事に最適です。プレーン味やフルーツ味など、色々な味があるので、飽きずに食べられます。
- 豆腐: 低カロリーで消化の良い豆腐も、コンビニやスーパーで購入可能です。冷奴や味噌汁の具材など、様々な食べ方ができます。
- 白身魚: コンビニやスーパーで売っている、白身魚の缶詰やパックもおすすめです。鮭やタラなどの水煮缶は、骨を取り除く手間もなく、手軽に食べられます。
- うどん、そうめん: コンビニやスーパーで手軽に購入できます。消化も良く、胃腸に負担をかけにくいです。ただし、そばは消化が悪いので避けてください。
- ゼリー飲料: 水分とエネルギーを同時に摂取でき、消化が良いのでおすすめです。
検査前日は、これらの食品を参考に、消化の良いものを選んで食べるようにしましょう。
ポイントは「消化の良いものを少量ずつ」食べることです。
大腸内視鏡検査前日の食事は何時まで?注意点と過ごし方
大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入し、大腸の内部を直接観察する検査です。これにより、大腸がん、ポリープ、炎症性腸疾患など、様々な病気を早期に発見し、適切な治療につなげることができます。
検査では、大腸の中を鮮明に観察するために、腸内をきれいにする必要があります。腸内に便が残っていると、病変を見落としてしまう可能性があります。そこで、検査前日には、食事の内容を調整し、腸内をきれいにするための準備を行うことが重要になります。
具体的には、検査前日の食事は、消化がよく、腸に残りにくいものを選び、午後7時までに済ませるようにします。
夕食の時間帯と献立例
夕食は、遅くとも午後7時までに済ませるようにしましょう。仕事などで午後7時までに食事を済ませることが難しい場合は、消化の良いものを少量だけ食べるようにし、できるだけ早く食事を済ませるように心がけましょう。
午後7時までの夕食献立例
- 白米のお粥、豆腐と卵のあんかけ、鶏ひき肉と野菜の煮込み
- お粥は消化がよく、胃腸に優しいので、検査前日の食事に最適です。豆腐、卵、鶏ひき肉は良質なタンパク質源であり、野菜も一緒に摂ることができます。
- うどん(具材は卵、鶏肉、かまぼこなど)、茶碗蒸し
- うどんは消化がよく、具材を変えることで様々な栄養を摂取できます。ツルッとした喉越しで、胃腸に負担をかけにくいのもメリットです。茶碗蒸しも卵とだし汁のうま味を楽しめる、消化の良いメニューです。
- 白身魚と野菜の蒸し料理(ポン酢で)、ご飯
- 白身魚は、鮭やタラなどがおすすめです。脂肪が少なく、消化しやすいのが特徴です。野菜と一緒に蒸すことで、栄養バランスもさらに良くなります。
これらの献立はあくまで一例です。ご自身の体調や好みに合わせて、自由にアレンジしてみてください。重要なのは、消化の良いものを中心に、腹八分目を心がけることです。
水分補給について
検査前日は、水分を十分に摂ることも大切です。特に、下剤を服用する場合は、指示された量の水を一緒に飲むようにしましょう。
水分補給のポイント
- 水、麦茶、スポーツドリンクなど、カフェインを含まないものを選びましょう。
- 1日を通してこまめに飲むように心がけましょう。
- 就寝前にコップ1杯の水を飲むと、さらに効果的です。
カフェインやアルコールは、腸を刺激したり、脱水症状を引き起こす可能性があるので、控えるようにしてください。
当日の朝食や薬について
検査当日は、原則として朝食は摂りません。ただし、糖尿病の薬など、普段から服用している薬がある場合は、自己判断で中断せずに、必ず医師の指示に従ってください。
快適に検査を受けるための準備
検査前日には、以下のことを確認して、安心して検査当日を迎えられるように準備しておきましょう。
快適に検査を受けるための準備
- 検査当日は、動きやすい服装で来院しましょう。
- 腸内をきれいにするために、医師から処方された下剤を指示通りに服用してください。
- 検査について不安なことがあれば、事前に医師や看護師に相談しましょう。
大腸内視鏡検査は、大腸の状態を直接観察できるため、病気の早期発見・治療に非常に有効な検査です。前日の食事や過ごし方をしっかり守って、安心して検査を受けてくださいね。
天白橋内科内視鏡クリニックがサポート!検査前の食事に関するよくある質問
大腸内視鏡検査は、皆様が想像されるよりも多くの場合で、食事の内容が検査結果に影響を与える可能性があります。
実際、私が診察した患者さんの中にも、「検査前日は食事を抜けば良いと思っていた」「繊維質の多い野菜は体に良いからと、前日までたくさん食べてしまった」という方が少なくありませんでした。
しかし、このような食事の選び方をしてしまうと、腸の中に便が残ってしまう可能性があり、せっかくの検査も十分な効果を得られない可能性があります。
持病がある場合の食事制限
糖尿病や高血圧、腎臓病など、持病をお持ちの方は、大腸内視鏡検査前の食事制限の方法について、さらに注意が必要です。
例えば、糖尿病の患者様の場合、食事を抜くと低血糖を起こすリスクがあります。低血糖は、めまい、ふらつき、冷や汗、動悸、意識障害などの症状を引き起こし、最悪の場合、命に関わることもあります。
また、腎臓病をお持ちの患者様の場合、カリウムやリンなどのミネラルの摂取制限が必要となるケースがあります。これらのミネラルを過剰に摂取してしまうと、高カリウム血症や高リン血症を引き起こし、心臓の不整脈や骨の異常などを招く可能性があります。
このように、持病をお持ちの場合、ご自身の判断で食事制限を行うことは大変危険です。必ず事前に医師に相談し、適切な食事指導を受けていただくようにしてください。
下剤服用後の食事について
大腸内視鏡検査の前処置として下剤を服用すると、腸の動きが活発になり、通常よりも速いスピードで便が体外へ排出されます。
これは、腸内をきれいにし、検査をスムーズに行うために必要な処置なのですが、一方で、消化機能が一時的に低下している状態とも言えます。
そのため、下剤を服用した後に食事を摂ると、消化不良を起こしやすく、吐き気や腹痛、腹部膨満感などの不快な症状が現れる可能性があります。
下剤服用後は、可能な限り食事は控えるようにし、水や麦茶、スポーツドリンクなど、透明な飲み物を摂取するように心がけましょう。
検査後の食事はいつから?
大腸内視鏡検査後は、検査のために挿入された内視鏡の影響で、腸が少し敏感になっていることがあります。そのため、検査後すぐにいつも通りの食事を摂ると、腸に負担がかかり、腹痛や下痢などを引き起こす可能性があります。
検査後は、1時間程度は食事を控え、腸の状態が落ち着いてから、消化の良いものを少しずつ食べるようにしましょう。
具体的には、おかゆ、うどん、白米、豆腐、白身魚などがおすすめです。これらの食品は、消化に優しく、腸への負担が少ないため、検査後の食事に適しています。
反対に、食物繊維が多い野菜や、脂肪分の多い肉類などは、腸に負担をかけやすいので、しばらく控えるようにしましょう。食物繊維は、腸の動きを活発にする働きがあり、消化にも時間がかかります。脂肪分の多い食品も、消化に時間がかかり、胃腸に負担をかける可能性があります。
また、検査後も水分補給は非常に大切です。検査後は、体内の水分量が不足しがちになりますので、こまめにお水を飲むように心がけましょう。
天白橋内科内視鏡クリニックへのアクセス
名古屋市営地下鉄鶴舞線「原駅」より徒歩2分、提携駐車場も完備しており、お車でも公共交通機関でも通いやすいクリニックです。風邪などの一般的な症状から内視鏡検査など、幅広い対応が可能です。またi医療アートメイクやエクソソーム点滴療法も可能です。お気軽にご相談ください。
まとめ
大腸内視鏡検査の前日は、消化の良いものを食べるようにしましょう。うどんや白米、豆腐などがおすすめです。繊維質の多い野菜や脂肪分の多い肉類は避け、午後7時までに食事を済ませましょう。検査当日は、医師の指示に従いましょう。
令和6年11月6日 天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣
・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
・がん治療認定医
ホームページ(←こちらをクリック)
内視鏡のページ(←こちらをクリック)
その他のブログ一覧(←こちらをクリック)
当院の採用情報(←こちらをクリック)
参考文献
- Hassan C, East J, Radaelli F, Spada C, Benamouzig R, Bisschops R, Bretthauer M, Dekker E, Dinis-Ribeiro M, Ferlitsch M, Fuccio L, Awadie H, Gralnek I, Jover R, Kaminski MF, Pellisé M, Triantafyllou K, Vanella G, Mangas-Sanjuan C, Frazzoni L, Van Hooft JE and Dumonceau JM. Bowel preparation for colonoscopy: European Society of Gastrointestinal Endoscopy (ESGE) Guideline - Update 2019. Endoscopy 51, no. 8 (2019): 775-794.
追加情報
[title]: Bowel preparation for colonoscopy: European Society of Gastrointestinal Endoscopy (ESGE) Guideline - Update 2019.,
大腸内視鏡検査のための腸管洗浄:ヨーロッパ消化器内視鏡学会(ESGE)ガイドライン - 2019年改訂版
【要約】
- ESGEは、大腸内視鏡検査の前日に低繊維食を推奨しています。これは強い推奨であり、中等度のエビデンスに基づいています。
- ESGEは、腸管洗浄のための強化された説明の使用を推奨しています。これは強い推奨であり、中等度のエビデンスに基づいています。
- ESGEは、腸管洗浄に経口シメチコンを追加することを提案しています。これは弱い推奨であり、中等度のエビデンスに基づいています。
- ESGEは、選択的で大腸内視鏡検査を行う患者に対して、分割投与による腸管洗浄を推奨しています。これは強い推奨であり、高品質のエビデンスに基づいています。
- ESGEは、午後に行う大腸内視鏡検査を受ける患者に対して、分割投与の代わりに同日に行う腸管洗浄を許容可能な代替手段として推奨しています。これは強い推奨であり、高品質のエビデンスに基づいています。
- ESGEは、大腸内視鏡検査の5時間前に最後の腸管洗浄剤の服用を開始し、検査開始の少なくとも2時間前に服用を完了することを推奨しています。これは強い推奨であり、中等度のエビデンスに基づいています。
- ESGEは、高容量または低容量のPEGベースのレジメン、およびルーチン腸管洗浄のために臨床的に検証されているPEG以外の薬剤の使用を推奨しています。 水電解質異常のリスクのある患者では、緩下剤の選択は個別化されるべきです。これは強い推奨であり、中等度のエビデンスに基づいています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31295746,
[quote_source]: Hassan C, East J, Radaelli F, Spada C, Benamouzig R, Bisschops R, Bretthauer M, Dekker E, Dinis-Ribeiro M, Ferlitsch M, Fuccio L, Awadie H, Gralnek I, Jover R, Kaminski MF, Pellisé M, Triantafyllou K, Vanella G, Mangas-Sanjuan C, Frazzoni L, Van Hooft JE and Dumonceau JM. "Bowel preparation for colonoscopy: European Society of Gastrointestinal Endoscopy (ESGE) Guideline - Update 2019." Endoscopy 51, no. 8 (2019): 775-794.