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天白橋の内視鏡ブログ

食道癌は心配じゃないですか?大丈夫ですか?

胃カメラ

みなさんお待たせしました。専門医がお答えシリーズです!
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「食道がん」と聞くと、あまり身近に感じないかもしれません。しかし、初期症状はほとんどなく、気づかぬうちに進行してしまう怖い病気です。

実は、食道がんは早期発見・早期治療で治癒が期待できます。

この記事では、食道がんの初期症状や原因、検査方法、そして最新の治療法までご紹介します。

「自分は大丈夫」と安易に考えず、この記事を通して食道がんの知識を深め、健康を守るための第一歩を踏み出しましょう。

食道がんの初期症状と原因

「食道がん」と聞いて、どんなイメージを持つでしょうか? あまり馴染みのない病気かもしれませんが、皆さんの身近にも潜んでいる病気です。食道がんは、食べ物を口から胃に送るための大切な通路である「食道」にできるがんです。

実は、初期の食道がんは自覚症状がほとんどありません。そのため、静かに進行し、気づかないうちに手遅れになってしまうケースも少なくありません。

こんな症状が出たら危険信号!

食道がんは初期症状が少ない病気ですが、進行するにつれて、以下のような症状が現れることがあります。これらの症状は、食道がんのサインかもしれません。

  • 胸やけ:脂っこいものを食べた後や、食後すぐに横になった時などに起こりやすい、みぞおちのあたりが焼けるような不快感は、食道がんの初期症状の可能性があります。多くの人は経験するよくある症状ですが、毎日のように続く場合は注意が必要です。
  • 呑酸(どんさん):まるで映画「エイリアン」に出てくるエイリアンのように、胃酸が逆流して口の中が酸っぱくなる症状です。胃もたれや胸やけを伴うこともあり、まるで口の中にレモンを絞ったような感覚を覚える方もいます。
  • 食べ物が詰まる感じ:食べ物が食道を通過する際に、まるで狭いトンネルを無理やり通ろうとするように、ひっかかるような感覚や、詰まるような感覚がある場合は注意が必要です。特に、固いものを食べた時や、食べ物が大きい場合に感じやすい傾向があります。まるで、食道に食べ物が詰まってしまったかのような感覚を覚えることがあります。
  • 飲み込みづらい:食べ物を飲み込む際に、スムーズに飲み込めず、違和感や抵抗感がある場合は、食道がんの初期症状かもしれません。症状が進むにつれて、飲み込むことが困難になっていき、最終的には水すら飲み込めなくなることもあります。

これらの症状は、食道がん以外にも、様々な病気が原因で起こることがあります。例えば、逆流性食道炎や食道アカラシアなども似たような症状を引き起こします。しかし、これらの症状が続く場合は、自己判断せずに、医療機関を受診しましょう。

食道がんになりやすい人の特徴

食道がんは、誰でもかかる可能性のある病気ですが、以下のような特徴に当てはまる人は、特に注意が必要です。

喫煙習慣がある人:タバコの煙に含まれる有害物質は、まるで食道の粘膜を焦がすように、炎症を引き起こし、がん細胞が発生しやすくなります。タバコの本数が多ければ多いほど、そのリスクは高まります。

  • お酒をよく飲む人:アルコールは、食道の粘膜を刺激し、まるで傷口に塩を塗るように、がん細胞の増殖を促す可能性があります。特に、毎日多量に飲酒する人は、注意が必要です。ビールや日本酒だけでなく、ワインや焼酎など、アルコールの種類を問わず、過度な飲酒は控えるようにしましょう。
  • 食生活の乱れ:塩分の多い食事や、熱い飲み物、食べ物は、食道の粘膜に負担をかけ、まるで熱い鉄板の上に水を垂らすように、がんのリスクを高める可能性があります。熱いお茶やラーメンなど、熱いものを頻繁に口にする習慣のある方は注意が必要です。
  • 加齢:食道がんは、40歳代から増加し始め、60歳代後半にピークを迎えます。これは、加齢によって、まるで古い機械が故障しやすくなるように、細胞の老化が進み、がん細胞が発生しやすくなるためと考えられています。
  • 男性:食道がんは、男性に多く見られるがんです。これは、男性ホルモンが、食道がんの発症リスクを高める可能性があるためと考えられています。

これらの特徴に当てはまる人は、食道がんのリスクが高いと言えるでしょう。日頃から、生活習慣を改善し、食道がん予防に努めることが大切です。

食道がんの進行段階

食道がんは、がんの大きさや、リンパ節への転移の有無などによって、ステージ0~IVの4つのステージに分類されます。ステージが進むにつれて、がんは大きくなり、周囲の組織やリンパ節、他の臓器にも転移していきます。

  • ステージ0:ごく初期のがんで、食道の粘膜の表面だけにがん細胞が存在する状態です。
  • ステージI:がんは食道の粘膜より深くまで進行していますが、周囲のリンパ節への転移はありません。
  • ステージII:がんは食道の周囲の筋肉層まで達している場合があり、周囲のリンパ節に転移している場合もあります。
  • ステージIII:がんはさらに深くまで進行し、周囲の臓器にも浸潤している場合があります。周囲のリンパ節への転移も広範囲に及んでいる可能性があります。
  • ステージIV:がんは他の臓器にまで転移している状態です。

一般的に、ステージが低いほど治療の効果が高く、生存率も高くなる傾向があります。バレット食道は、食道がんのリスク因子となる可能性があるため、定期的な検査が必要です。進行したバレット食道では、専門家が確認した低グレード異形成に加えて、高グレード異形成/腺癌への進行リスクの上昇が報告されており、客観的な組織システム病理検査の高リスククラスは、進行リスク予測を大幅に改善することが示唆されています。

例えば、ある研究では、組織システム病理検査を用いてバレット食道の進行リスクを予測した結果、高リスクと判定された患者は、低リスクと判定された患者に比べて、高グレード異形成や腺癌に進行するリスクが6倍も高いことが明らかになりました。このことから、バレット食道と診断された場合は、定期的な検査を受け、専門医による適切な診断と治療を受けることが重要であると言えます。

 

食道がんの検査と診断

「もしかして、食道がん…?」
そう思って当クリニックのサイトにたどり着いたあなたは、きっと不安な気持ちでいっぱいでしょう。
大丈夫です。
食道がんは早期発見・早期治療で治癒が期待できる病気です。
まずは検査で現状を正しく把握することから始めましょう。

食道がんの検査方法

食道がんの検査方法には、主に以下の3つがあります。

  1. 胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査) - 食道がん発見の最重要検査
  2. 生検検査 - がんかどうかを確定する検査
  3. 画像検査(CT検査、MRI検査、PET検査など) - がんの広がりを調べる検査

この中でも特に重要なのが、胃カメラ検査です。

口から細い管状のカメラを挿入し、食道の内部を直接観察します。
「えっ!口からカメラなんて痛そう…」
そう思った方もいるかもしれません。
ご安心ください。
当クリニックでは、経験豊富な医師が、患者さんの苦痛を最小限に抑えるよう、丁寧に検査を行います。
また、ご希望の方には、鎮静剤を使用し、眠っている間に検査を受けることも可能です。

胃カメラ検査でわかること

胃カメラ検査では、食道の粘膜をくまなく観察することで、様々な情報を得ることができます。

例えば、食道の粘膜が赤く腫れていれば「食道炎」、
粘膜がえぐれていたら「食道潰瘍」、
粘膜が赤く変色し、胃の粘膜に似た状態になっていれば「バレット食道」の可能性があります。

そして、粘膜の一部が盛り上がっていたり、硬くなってへこんでいたりする場合は「食道がん」の可能性があります。

食道がんは、早期の段階ではほとんど自覚症状がありません。
そのため、胃カメラ検査による早期発見が非常に重要なのです。

生検検査とは?

胃カメラ検査でがんが疑われる場合は、生検検査を行います。

これは、胃カメラ検査の際に、食道の粘膜をほんの少しだけ採取し、顕微鏡で細胞レベルで調べる検査です。
この検査によって、がん細胞の有無や種類を正確に診断することができます。

例えば、食道がんになりやすい状態として「バレット食道」があります。
バレット食道自体はがんではありませんが、放置すると、将来的にがんに進行するリスクがあります。

生検検査では、採取した組織を専門家が詳しく調べるだけでなく、「組織システム病理検査(TissueCypher)」のような最新の技術を用いることで、バレット食道が将来的にがんに進行するリスクをより正確に予測することができます。

この検査結果に基づいて、適切な治療方針を決定します。

食道がんの治療法と予防策

食道がんは早期発見・早期治療が何よりも大切な病気です。早期発見できれば、比較的簡単な治療で済む可能性が高まります。「自分は大丈夫」と安易に考えず、食道がんの治療法と予防策について、一緒に見ていきましょう。

食道がんの治療法

食道がんの治療法は、がんの進行度(ステージ)や患者さんの状態、年齢、体質などによって異なります。まるで、敵の強さや味方の状況に応じて戦略を変えるように、一人ひとりに最適な治療法を選択することが重要です。主な治療法には、手術、放射線療法、化学療法などがあります。

1. 手術

がんが食道の壁の浅い部分にとどまっている早期の場合は、手術でがんを取り除くことが可能です。まるで、初期の虫歯を削って治療するように、早期発見であれば、身体への負担が少なく治療できます。

がんが進行している場合は、食道の一部または全部を切除し、胃を持ち上げてつなぐ手術が行われます。これは、まるで傷んだ水道管を交換するようなもので、身体への負担は大きくなりますが、がんを根治するために必要な場合があります。

食道がんの手術は、開胸手術や腹腔鏡手術など、様々な方法があります。近年では、身体への負担が少ない腹腔鏡手術が広く行われるようになってきています。

2. 放射線療法

放射線療法は、放射線を使ってがん細胞を破壊する治療法です。まるで、強力な光線銃でがん細胞を狙い撃ちするイメージです。手術が難しい場合や、手術後に残っているがん細胞を減らすために用いられます。

放射線療法は、手術と比較して身体への負担が少ないというメリットがありますが、副作用として、皮膚炎や食欲不振、倦怠感などが現れることがあります。

3. 化学療法

化学療法は、抗がん剤を使ってがん細胞の増殖を抑える治療法です。これは、まるで、がん細胞の増殖を抑えるブレーキをかけるようなもので、手術や放射線療法と組み合わせて行われることが多く、がんの進行を抑えたり、症状を和らげたりする効果が期待できます。

化学療法は、副作用として、脱毛や吐き気、白血球減少などが現れることがあります。

食道がんの治療は、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、これらの治療法を組み合わせる「集学的治療」が行われます。

食道がんの予防方法

食道がんの予防には、生活習慣の改善が大切です。特に、喫煙、飲酒、食生活は密接に関係しているため、注意が必要です。

1. 禁煙

タバコは、食道がんの最も大きなリスク要因の一つです。タバコの煙に含まれる有害物質は、まるで食道の粘膜を傷つける針のように、炎症を引き起こし、がん細胞が発生しやすくなります。タバコの本数が多ければ多いほど、そのリスクは高まります。禁煙することで、食道がんのリスクを大幅に減らすことができます。

2. 節酒

過度の飲酒は、食道がんのリスクを高めます。アルコールは、食道の粘膜を刺激し、まるで傷口に塩を塗るように、がん細胞の増殖を促す可能性があります。特に、毎日多量に飲酒する人は、注意が必要です。ビールや日本酒だけでなく、ワインや焼酎など、アルコールの種類を問わず、過度な飲酒は控えるようにしましょう。

3. バランスの取れた食生活

塩分の多い食事や熱い飲み物は、食道に負担をかけ、がんのリスクを高める可能性があります。熱いものは、まるで熱い鉄板のように、食道の粘膜にダメージを与え、がんのリスクを高める可能性があります。野菜や果物を十分に摂り、バランスの取れた食生活を心がけましょう。

4. 定期的な検査

食道がんは早期発見が重要です。特に、喫煙習慣や飲酒習慣のある人は、定期的に胃カメラ検査などの検査を受けるようにしましょう。早期発見は、まるで宝探しで宝の地図を手に入れるように、治療を成功させるための近道となります。

これらの予防策を実践することで、食道がんのリスクを下げ、健康な状態を保つことができます。

天白橋内科内視鏡クリニックの食道がん治療の特徴

当クリニックでは、患者様に寄り添った丁寧な診療を心がけ、地域医療に貢献いたします。

1. 経験豊富な医師による的確な診断と治療

消化器内視鏡専門医である院長が、これまでの豊富な経験と専門知識に基づき、患者さん一人ひとりの状態を的確に診断し、最適な治療方針を決定します。

2. 最新の設備と技術による苦痛の少ない検査

患者さんの負担を軽減するために、最新の設備と技術を導入し、苦痛の少ない内視鏡検査を提供しています。

3. 患者様とのコミュニケーションを重視

食道がんは早期発見・早期治療が重要です。少しでも気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。

まとめ

食道がんは初期症状が少ない病気ですが、胸やけ、呑酸、食べ物が詰まる感じ、飲み込みづらいといった症状が現れることがあります。

喫煙習慣や飲酒習慣、食生活の乱れ、加齢、男性は特に食道がんになりやすいと言えます。

食道がんの治療法は、がんの進行度合いや患者さんの状態に合わせて、手術、放射線療法、化学療法などを組み合わせた集学的治療が行われます。

食道がんを予防するには、禁煙、節酒、バランスの取れた食生活を心がけ、定期的な検査を受けることが大切です。

全ては患者さんの「もっと早く治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。

詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。




令和6年8月21日 天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣

・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
・がん治療認定医

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参考文献

  • Iyer PG, Codipilly DC, Chandar AK, Agarwal S, Wang KK, Leggett CL, Latuche LR, Schulte PJ. Prediction of Progression in Barrett's Esophagus Using a Tissue Systems Pathology Test: A Pooled Analysis of International Multicenter Studies. Clinical gastroenterology and hepatology 20, no. 12 (2022): 2772-2779.e8.

追加情報

[title]: Prediction of Progression in Barrett's Esophagus Using a Tissue Systems Pathology Test: A Pooled Analysis of International Multicenter Studies.,

[summary]: ## 【タイトル】 組織システム病理検査を用いたバレット食道の進行予測:国際多施設共同研究のプール解析

【要約】

  • バレット食道(BE)の進行リスクを予測することは、個別化された治療に役立ちます。本研究では、パラフィン包埋組織を用いた組織システム病理検査(TissueCypher)が、複数の国際研究から得られた個々の患者のレベルデータをプールし、専門家による病理学的レビューに加えて、発生した進行を予測する際に付加価値があるかどうかを評価することを目的としました。

  • デモグラフィックデータ、臨床的特徴、TissueCypherリスククラス/スコア、および進行状況を分析しました。条件付きロジスティック回帰分析を用いて、TissueCypherリスククラス(低リスク、中等度リスク、高リスク)の有無による発生した進行を予測する多変量モデルを開発しました。モデルの予測能力を評価するために、一致度(c-)統計を計算し、尤度比検定と比較しました。また、臨床変数とTissueCypherリスククラスを統合したリスク予測計算機も開発しました。

  • ベースラインで異形成なし(n = 472)、不定(n = 32)、または低グレード異形成(n = 48)の患者552例(発生した進行者152例、進行なし400例)のデータを分析しました。高リスクテストクラスは、専門家が確認した低グレード異形成(オッズ比2.9、95%信頼区間1.2-7.2)に加えて、高グレード異形成/腺癌への進行リスクの上昇を独立して予測しました(オッズ比6.0、95%信頼区間2.9-12.0)。TissueCypherリスククラスを組み込んだモデルによる進行の予測は、全体のコホート(c-統計量0.75対0.68、P <.0001)および非異形成BEサブセット(c-統計量0.72対0.63、P <.0001)において、組み込まない場合よりも有意に優れていました。高リスクTissueCypherクラスの感度と特異度は、それぞれ38%と94%でした。

  • 客観的な組織システム病理検査の高リスククラスは、BE患者における発生した進行の強力な独立予測因子であり、臨床変数のみよりも進行リスク予測を大幅に改善します。試験の特異度は高かったものの、感度は中程度でした。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35217151,

[quote_source]: Iyer PG, Codipilly DC, Chandar AK, Agarwal S, Wang KK, Leggett CL, Latuche LR and Schulte PJ. "Prediction of Progression in Barrett's Esophagus Using a Tissue Systems Pathology Test: A Pooled Analysis of International Multicenter Studies." Clinical gastroenterology and hepatology : the official clinical practice journal of the American Gastroenterological Association 20, no. 12 (2022): 2772-2779.e8.