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天白橋の内視鏡ブログ

胃に影?バリウム検査で要精査になったときどうする?

胃カメラ

みなさんお待たせしました。専門医がお答えシリーズです!
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バリウム検査で「要精査」の文字を見た時、あなたはどんな気持ちになりましたか? もしかしたら、心臓がドキドキしたかもしれません。胃に影が見つかったという事実、そしてこれからどんな検査や治療が必要になるのか、不安に思っていることでしょう。 実は、バリウム検査で「要精査」と診断されるケースは少なくありません。2020年には、胃がんの患者数は約14万人と推計され、胃の病気は決して他人事ではありません。 この記事では、「要精査」の意味や、考えられる病気、そして今後の検査や治療の流れについて詳しく解説していきます。 胃の影の正体を知り、安心して次のステップに進めるように、一緒に見ていきましょう。

バリウム検査の結果が「要精査」とはどういうことか

健康診断などでバリウム検査を受けた後、「要精査」の文字を見つけて不安になった経験はありませんか? 胃に何らかの異常が見つかったサインですが、必ずしも深刻な病気とは限りません。多くの人は「要精査」と言われても、それが何を意味するのか、具体的にどんな病気が考えられるのか、わからずに不安な気持ちを抱えてしまうでしょう。この章では、「要精査」の意味を詳しく解説し、その後の検査や治療の流れをわかりやすく説明していきます。安心して次のステップに進めるように、一緒に見ていきましょう。

バリウム検査による胃の影の意味

バリウム検査では、バリウムという白い液体を使って胃の内部をレントゲンで撮影します。このバリウムが、胃の粘膜に均一に広がらず、一部に「影」として現れることがあります。この影は、胃の粘膜が凸凹していることを示しており、炎症やポリープなどの病変が隠れている可能性を示唆しています。

例えるなら、真っ白なシーツに泥水をこぼしてしまった様子を想像してみてください。泥水が乾くと、シーツにはシミが残りますよね。バリウム検査の場合、このシミに相当するのが「影」です。シミの形や大きさによって、泥水の量や種類が推測できるように、バリウム検査の影も、その形や大きさ、位置から、医師はある程度の病変を推測します。

「要精査」の場合に考えられる病気

「要精査」となる原因はさまざまですが、代表的なものとして、胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、そして胃がんが挙げられます。胃炎は、胃の粘膜に炎症が起こっている状態です。ピロリ菌の感染や、暴飲暴食、ストレスなどが原因で起こることが多く、比較的、早期発見・治療で改善しやすい病気です。

胃潰瘍は、胃酸によって胃の粘膜が深くえぐれてしまった状態を指します。胃の痛みや胸焼けなどの症状が現れ、日常生活に支障をきたすこともあります。胃ポリープは、胃の粘膜の一部がきのこのような形で盛り上がっている状態です。ほとんどは良性ですが、中にはがん化する可能性のあるものもあるため、注意が必要です。

そして、胃がんは、胃の細胞ががん化し、増殖していく病気です。初期には自覚症状が出にくいという特徴があり、進行すると手術が必要となる場合もあります。

これらの病気は、バリウム検査で見つかる影の形状や大きさである程度推測できますが、確定診断には、胃カメラ検査などの精密検査が必要です。

最近の研究では、ビタミンB6の摂取と胃がんリスクの関連性について注目されています。いくつかの研究で、ビタミンB6を十分に摂取することで、胃がんのリスクを減らせる可能性が示唆されていますが、まだ明確な結論は出ていません。食生活を含めた生活習慣と病気の関係は複雑であり、更なる研究が必要とされています。

精密検査の重要性とメリット

「要精査」と言われたら、不安になるのは当然のことです。しかし、そこで怖がったり、検査を先延ばしにしたりせず、精密検査を受けることが非常に重要です。精密検査によって、影の原因を特定し、適切な治療法を選択することができます。

精密検査の中でも、胃カメラ検査は、食道、胃、十二指腸の内部を直接観察できるため、より正確な診断が可能です。胃カメラ検査というと、「つらそう」「苦しそう」といったイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし実際には、検査前に喉の麻酔をするため、ほとんど痛みを感じることなく検査を受けることができます。また、近年では、鼻から内視鏡を挿入する経鼻内視鏡検査も普及しており、患者さんの負担は大きく軽減されています。

胃に影が見つかったときの精密検査の流れ

バリウム検査で「胃に影がある」と診断されると、心臓がドキッとしますよね。胃の病気は、日本人にとって身近な病気の一つです。私のクリニックにも、毎年多くの方が胃の検査に訪れます。バリウム検査で「要精査」と言われた方は、特に不安を感じていることでしょう。

バリウム検査は、胃の内部を大まかに調べる検査なので、「影」=「病気」と断定することはできません。例えるなら、遠くから景色を眺めているようなもので、木があるのか、建物があるのか、はたまた何か別のものがあるのか、はっきりとはわかりませんよね。しかし、「いつもと違う様子」が見えたら、もっと詳しく見てみようとするのが自然な流れでしょう。

胃カメラ検査の手順と注意点

そこで登場するのが、「胃カメラ検査」です。胃カメラ検査は、先端に小型カメラのついた細い管を口から挿入し、食道、胃、十二指腸の粘膜を直接観察する検査です。バリウム検査が遠くから景色を眺めるのに対し、胃カメラ検査は実際に現地に行って、自分の目で確かめるようなものです。

「胃カメラ検査」と聞いて、 「オエッとなるのが怖い」 「痛みはありますか?」 といった声が聞こえてきそうですね。確かに、以前はつらい検査というイメージを持たれることもありました。しかし、最近の胃カメラは直径わずか5mm程度と非常に細くなっており、鼻から挿入することも可能です。また、検査前は喉の麻酔を行うため、ほとんど痛みを感じることなく検査を受けられますのでご安心ください。

胃カメラ検査の流れは、以下の通りです。

  1. 検査前の準備: 検査前には、6~8時間ほど絶食が必要です。これは、胃の中に食べ物が残っていると、カメラで見えにくくなってしまうためです。
  2. のどの麻酔: 検査前に、ゼリー状の麻酔薬で、のどを麻酔します。
  3. カメラの挿入: 麻酔が効いてきたら、左側を下にしてベッドに横になり、口または鼻からカメラを挿入します。
  4. 観察: カメラを通して、食道、胃、十二指腸の粘膜をくまなく観察します。
  5. 組織採取: 必要があれば、組織の一部を採取して、顕微鏡で詳しく調べます(生検)。組織採取は、ごく細い鉗子で行うため、痛みはほとんどありません。
  6. 検査終了: 検査時間は5分~10分程度で終了します。

検査前の準備とアドバイス

胃カメラ検査をスムーズに受けていただくために、いくつか準備とアドバイスがあります。

食事: 前日の夕食は消化の良いものを心がけ、夜9時以降は飲食を控えてください。検査当日は、決められた時間から絶食が必要です。

服装: 検査を受ける際は、締め付けの少ない、楽な服装がおすすめです。

持参するもの: 保険証、診察券、お薬手帳などを持参しましょう。

不安や疑問: 検査に対して、不安な気持ちや疑問があれば、事前に医師や看護師に相談するようにしましょう。

検査後のフォローアップについて

胃カメラ検査後は、医師から検査結果の説明があります。異常が見つからなければひとまず安心ですが、影の原因によっては、定期的な検査や経過観察が必要になることもあります。

検査結果の説明: 検査で異常が見つかった場合は、その後の治療方針などについて、医師から詳しく説明があります。

生活習慣の改善: 胃の健康を維持するためには、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠など、健康的な生活習慣を心がけることが大切です。食生活では、塩分を控えめにする、よく噛んで食べる、などを意識してみましょう。また、禁煙も効果的です。

定期的な検査: 胃の病気は、自覚症状がないまま進行することもあります。そのため、定期的な検査を受けることは、早期発見・早期治療のために非常に大切です。特に、ピロリ菌感染が確認された場合は、定期的な検査が必要です。

最近の研究では、ビタミンB6の摂取と胃がんリスクとの関連性が示唆されています。十分なビタミンB6摂取は、胃がんのリスクを減らす可能性がありますが、まだ明確な結論は出ていません。食生活を含めた生活習慣は、胃の健康に大きく影響を与えます。バランスの取れた食事を心がけ、必要であればサプリメントも活用しながら、ビタミンB6を積極的に摂取するのも良いかもしれません。しかし、サプリメントの過剰摂取は逆効果になる可能性もあるため、医師や薬剤師に相談の上、適切な量を摂取するようにしましょう。

胃に影が見つかった場合の治療法と対策

胃に影が見つかったと告げられると、誰でも不安な気持ちになるものです。胃の病気は日本人にとって身近な病気の一つであり、私のクリニックにも、毎年多くの方が胃の検査に訪れます。バリウム検査で「要精査」と言われた方は、特に不安を感じていることでしょう。胃の影は、まるで湖面に浮かぶ影のように、その正体がはっきりとしません。しかし、落ち着いて、検査結果や治療法について、医師とよく相談することが大切です。

胃がんや胃潰瘍の治療選択肢

胃がんや胃潰瘍と診断された場合、その治療法は、進行度や症状、患者さんの体力、年齢、生活背景などに応じて、一人ひとりに最適なものが選択されます。まるで、洋服を選ぶように、その人に合った治療法を見つけることが重要です。主な治療法としては、大きく分けて「手術療法」「薬物療法」「放射線療法」の3つがあります。

  1. 手術療法: これは、胃がんや胃潰瘍の原因となっている部分を、外科手術によって取り除く方法です。早期胃がんの場合、まるで木の枝を切り落とすように、内視鏡を用いて病変部分を切除する手術が行われます。進行胃がんの場合は、開腹手術や腹腔鏡手術といった、より広範囲の手術が必要となることがあります。胃潰瘍の場合は、潰瘍部分を切除したり、胃酸の分泌を抑える手術が行われることがあります。
  2. 薬物療法: これは、薬の力を使って、がん細胞をやっつけたり、胃酸の分泌を抑えたりする方法です。抗がん剤治療は、がんの種類や進行度に合わせて、適切な抗がん剤が選択されます。例えるなら、敵に合わせて武器を使い分けるようなもので、患者さん一人ひとりに最適な薬を選択することが重要です。胃潰瘍の場合は、胃酸を抑える薬や、ピロリ菌という細菌を退治する薬が使われます。
  3. 放射線療法: これは、放射線という目に見えないエネルギーを使って、がん細胞を攻撃する方法です。手術が難しい場合や、手術後に残っているかもしれないがん細胞を減らすために用いられます。

これらの治療法は、単独で行われることもあれば、組み合わせて行われることもあります。治療方針は、患者さんの状態や希望を考慮しながら、医師とよく相談して決めていきます。

日常生活での注意点と食生活の見直し

胃に影が見つかった場合、日常生活では、ストレスを溜めない、十分な睡眠をとるなど、規則正しい生活を心がけることが大切です。ストレスは、胃酸の分泌を促し、胃の粘膜を傷つけてしまうことがあります。十分な睡眠は、体の疲れを癒し、胃の回復力を高めるために必要です。また、禁煙やアルコールの制限も重要です。タバコに含まれるニコチンは、胃酸の分泌を増加させ、胃の粘膜を傷つけます。アルコールも、胃酸の分泌を増加させたり、胃の粘膜を直接傷つけたりすることがあります。食生活では、胃に負担をかけないような食事を心がけましょう。

食事のポイント

  • よく噛んで食べる: 食べ物をよく噛むことで、消化を助け、胃への負担を減らすことができます。
  • 刺激物(香辛料、カフェイン、炭酸飲料など)を控える: 香辛料やカフェイン、炭酸飲料などは、胃酸の分泌を促し、胃の粘膜を刺激することがあります。
  • 消化のよいものを食べる: 消化のよいものを食べることで、胃への負担を減らすことができます。
  • 脂肪分の多い食事を控える: 脂肪分の多い食事は、消化に時間がかかり、胃に負担をかけます。
  • 暴飲暴食を避ける: 一度にたくさんの量を食べると、胃に負担がかかります。
  • 規則正しい時間に食事をとる: 食事の時間が不規則になると、胃酸の分泌のリズムが乱れ、胃の不調につながることがあります。

治療費用の目安と保険適用について

胃がんや胃潰瘍の治療費は、病気の進行度や治療法、入院期間などによって大きく異なります。健康保険が適用される場合、自己負担額は医療費の1~3割となりますが、高額療養費制度を利用することで、自己負担額を抑えることができます。

例えば、胃がんの外科手術の場合、入院期間は約2~4週間で、高額療養費制度を利用した場合の自己負担額の目安は、約10~30万円程度となります。

項目 内容
健康保険適用 適用あり
自己負担割合 1~3割(所得に応じて異なる)
高額療養費制度 利用可能

また、治療費の負担を軽減するための助成制度もあります。心配なことがあれば、医師や病院の相談窓口に相談してみましょう。

近年、ビタミンB6の摂取と胃がんリスクの関連性について研究が進められており、ビタミンB6を十分に摂取することで、胃がんのリスクを減らせる可能性が示唆されています。ビタミンB6は、肉類、魚介類、豆類、ナッツ類などに多く含まれています。バランスの取れた食事を心がけ、必要であればサプリメントも活用しながら、ビタミンB6を積極的に摂取するのも良いかもしれません。しかし、サプリメントの過剰摂取は逆効果になる可能性もあるため、医師や薬剤師に相談の上、適切な量を摂取するようにしましょう。

まとめ

バリウム検査で「要精査」と診断された場合、胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、胃がんなどの可能性があり、精密検査が必要となります。精密検査には、胃カメラ検査などがあり、食道、胃、十二指腸の内部を直接観察することができます。胃カメラ検査は、近年では鼻から内視鏡を挿入する経鼻内視鏡検査も普及しており、患者さんの負担は軽減されています。検査結果に基づき、必要であれば手術療法、薬物療法、放射線療法などの治療が行われます。日常生活では、ストレスを溜めない、十分な睡眠をとるなど、規則正しい生活を心がけることが大切です。また、禁煙、アルコールの制限、消化の良い食事を心がけましょう。

全ては患者さんの「もっと早く治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。

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令和6年8月20日 天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣

・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
・がん治療認定医

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参考文献

  • Li C, He J, Fu H, Chang H. "Association between Vitamin B(6) and Risk of Gastric Cancer: A Systematic Review and Meta-Analysis of Epidemiological Studies." Nutrition and cancer 75, no. 10 (2023): 1874-1882.

追加情報

ビタミンB6と胃癌リスクの関連:疫学的研究の系統的レビューとメタアナリシス

【要約】

  • ビタミンB6の摂取と胃癌のリスクの関連については、疫学的研究で一貫性のない結果が出ています。
  • この研究では、公開されたデータを網羅的に調査し、メタアナリシスを行いました。
  • 12の研究(前向きコホート研究5件、症例対照研究7件)がメタアナリシスに含まれ、5,692の症例と814,157の参加者が対象となりました。
  • 結果は、ビタミンB6の高い摂取量が胃癌のオッズを減少させる可能性があることを示しています(OR=0.83、95% CI: 0.73-0.95、p=0.006)。
  • ただし、この関連性は症例対照研究でのみ観察されました(OR=0.68、95% CI: 0.51-0.89、p=0.006)、コホート研究では観察されませんでした(RR=1.01、95% CI: 0.94-1.08、p=0.819)。
  • さらに、ビタミンB6摂取と胃癌リスクの負の関連は、アメリカ合衆国でのみ観察されました(OR=0.71、95% CI: 0.62-0.82、p=10^-4)、ヨーロッパ(OR=0.88、95% CI: 0.74-1.05、p=0.169)や他の地域では観察されませんでした(OR=0.86、95% CI: 0.66-1.13、p=0.280)。
  • 結論として、ビタミンB6摂取が胃癌リスクと関連しているとは十分な証拠はなく、さらなる検証が必要です。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37904520

,

[quote_source]: Li C, He J, Fu H and Chang H. "Association between Vitamin B(6) and Risk of Gastric Cancer: A Systematic Review and Meta-Analysis of Epidemiological Studies." Nutrition and cancer 75, no. 10 (2023): 1874-1882.