若い女性の大腸内視鏡事情 若い女性の患者さん案外多いです
若い女性にとって、大腸内視鏡検査は、なかなか踏み出せないハードルかもしれません。「痛い」「怖い」「恥ずかしい」そんなイメージが先行して、受診をためらっている方も多いのではないでしょうか?しかし、近年、20代、30代といった若い世代での大腸がんの増加が問題視されており、早期発見の重要性が叫ばれています。この記事では、若い女性の視点から、大腸内視鏡検査の必要性や、検査を受けるにあたっての不安を解消するヒントを紹介します。自分の健康を守るため、一歩踏み出す勇気を与えてくれる内容となっています。ぜひ、最後まで読んでみてください。
お待たせし過ぎたかもしれませんし、誰もお待ちではないかもしれません。
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現代社会において、大腸がんは早期発見・治療が重要視されています。その有効な手段として注目される大腸内視鏡検査ですが、検査前の食事制限が重要となることはご存知でしょうか?
大腸内視鏡検査の目的と重要性
「大腸内視鏡検査」と聞くと、どうしても「痛い」「怖い」「恥ずかしい」といったネガティブなイメージが先行してしまうかもしれません。私自身、医師になる前はそう思っていました。しかし、内視鏡専門医として多くの検査に携わる中で、大腸内視鏡検査は健康を守る上で非常に重要な検査であると確信しています。
皆さんは、自分の体の中に、知らないうちに病気が潜んでいるかもしれないと想像したことはありますか?大腸の病気は、初期段階では自覚症状がほとんどないことが多く、気づかないうちに進行してしまうケースが少なくありません。
大腸内視鏡検査は、まさにこの「気づかないうちに進行する病気」を発見するための重要なツールなのです。お腹の中を直接カメラで観察することで、早期の段階で病変を発見し、適切な治療につなげることができます。
早期発見のメリットは計り知れません。治療の負担が軽くなるだけでなく、健康寿命を延ばすことにもつながります。最近では、50歳未満で発症する早期発症大腸がん(eoCRC)が増加しており、米国では癌関連死亡の第3位の原因となっています。生活習慣や食生活の変化などが影響していると考えられています。だからこそ、若い世代でも大腸内視鏡検査の重要性を認識する必要があります。
大腸内視鏡検査で発見できる病気3つ
大腸内視鏡検査で発見できる主な病気は、以下の3つです。
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大腸ポリープ: 大腸ポリープは、大腸の壁にできる「いぼ」のようなものです。ちょうど、鼻の中にできるポリープと同じようなものだと考えてください。最初は小さくても、徐々に大きくなる可能性があり、将来的に大腸がんに進行する可能性も懸念されます。
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大腸がん: 大腸がんは、文字通り大腸にできるがんです。初期段階では自覚症状が乏しいことが多く、発見が遅れると治療が難しくなる場合もあります。実際に、私のクリニックにも、便秘や軽い腹痛を訴えて来院された患者さんが、検査の結果、大腸がんが見つかったというケースが複数ありました。
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炎症性腸疾患: 炎症性腸疾患は、クローン病や潰瘍性大腸炎などの慢性的な炎症を起こす病気の総称です。腹痛や下痢、血便などの症状が現れます。大腸内視鏡検査では、炎症の程度や範囲を直接確認し、診断を確定することができます。例えば、以前、長年下痢に悩まされていた20代の女性が来院され、検査の結果、潰瘍性大腸炎と診断されたケースがありました。
早期発見のメリットと健康への影響
大腸内視鏡検査による早期発見は、健康へ良い影響を与えるだけでなく、生活の質の向上にもつながります。
例えば、大腸ポリープを早期に発見できれば、内視鏡を使って切除することで、将来のがん化を予防できます。また、早期の大腸がんを発見できれば、内視鏡手術だけで治療が完了する場合もあり、入院期間の短縮や治療費の削減にもつながります。
一方、病気が進行してから発見された場合、開腹手術や抗がん剤治療が必要になることが多く、身体的にも経済的にも大きな負担がかかります。早期発見は、まさに「早期治療」「負担軽減」「生活の質の向上」の三拍子が揃った、理想的な結果をもたらすのです。
大腸内視鏡検査の必要性が高まる若年層の現状
近年、20代、30代といった若い世代での大腸がんの増加が問題視されています。食生活の欧米化や運動不足といった生活習慣の変化に加え、遺伝的要因なども発症リスクを高めていると考えられています。
特に、腹痛、下痢、便秘などの症状が続いている方、血便が出たことがある方、家族に大腸がんになった人がいる方は、年齢に関わらず、一度大腸内視鏡検査を受けることを検討する価値があります。
検査を受けることへの不安や抵抗感がある方もいるかもしれません。しかし、検査を受けることで、病気を早期に発見し、適切な治療を受ける機会が得られます。これは、将来の健康を守り、より長く、より健康な人生を送るための重要な一歩となるのです。
大腸内視鏡検査の準備と実施過程
大腸内視鏡検査を受けるにあたっては、事前の準備や検査の流れを理解しておくことが、不安の軽減につながります。この章では、検査前に必要な準備、検査の流れと所要時間、検査中の痛みや不快感について、より具体的に解説します。安心して検査に臨めるよう、ぜひ最後までお読みください。
検査前に必要な準備とは?
大腸内視鏡検査の精度は、腸内をどれだけきれいにできるかで大きく左右されます。検査前日や当日の準備をしっかり行うことで、小さな病変も見逃さず、正確な診断が可能になります。準備のポイントは大きく分けて3つあります。
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食事制限: 検査の数日前から、消化の良いものを中心とした食事に切り替える必要があります。消化に時間のかかるもの、食物繊維の多いもの(野菜、きのこ、海藻、こんにゃくなど)は、腸内に残留しやすく、検査の妨げになる可能性があります。これらの食材は、便の量を増やし、腸内をきれいにする妨げとなるため、検査の数日前から制限することが重要です。例えば、普段から野菜をたくさん食べる方は、検査の数日前から徐々に量を減らしていくと良いでしょう。おかゆ、うどん、白米、豆腐、鶏肉、白身魚などは消化が良いので、積極的に摂取するようにしてください。検査前日は、これらの消化の良いものを少量にとどめ、夜には専用の検査食を食べることになります。検査食は、消化吸収が早く、腸内に残留しにくい成分で構成されています。
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下剤の服用: 検査前日または当日には、下剤を服用して腸の中をきれいにする必要があります。下剤には、腸管洗浄液を飲む方法や、錠剤を服用する方法など、いくつかの種類があります。当クリニックでは、2リットルの腸管洗浄液を飲んでいただく方法を採用しています。なぜ2リットルもの量が必要なのかというと、大腸の長さは約1.5メートルにもあり、その内部をくまなく洗浄するためには、十分な量の洗浄液が必要となるからです。大量の液体を飲むのは大変そうに思えるかもしれませんが、時間をかけてゆっくりと飲んでいただければ大丈夫です。また、下剤を服用すると、何度もトイレに行くことになります。これは、腸内が洗浄されている証拠ですので、ご安心ください。
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その他の注意点: 服用中の薬がある場合は、必ず医師に相談しましょう。特に、抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)や糖尿病の薬などは、検査前に一時的に服用を中止する必要がある場合があります。抗凝固薬を服用したまま検査を行うと、出血のリスクが高まる可能性があります。また、糖尿病の薬は、低血糖を引き起こす可能性があるため、検査当日の服用方法を調整する必要がある場合があります。検査当日は、動きやすい服装で来院するようにしてください。検査着に着替える際に、締め付けの強い服や複雑なデザインの服は不便です。
検査の流れと所要時間
大腸内視鏡検査は、おおよそ以下の流れで進められます。
- まず、検査着に着替え、検査台に横になります。
- 次に、肛門から内視鏡を挿入します。この時、痛みを軽減するために、ゼリー状の麻酔薬を使用します。
- 内視鏡を大腸の先端まで進め、大腸全体を観察しながら、必要に応じて組織を採取します。
- 最後に、内視鏡をゆっくりと抜いて検査終了です。
検査時間は、個人差がありますが、通常30分~1時間程度です。ポリープの切除などを行う場合は、さらに長くなることもあります。例えば、大きなポリープが複数見つかった場合や、出血しやすい場所にあるポリープを切除する場合は、1時間以上かかることもあります。検査後、医師から検査結果の説明を受け、帰宅となります。
検査中の痛みや不快感について
大腸内視鏡検査は、内視鏡を肛門から挿入するため、どうしても多少の痛みや不快感を伴う可能性があります。腸管の形状は人によって異なり、弯曲の強い方や癒着のある方は、内視鏡の挿入時に痛みを感じやすい傾向があります。しかし、当クリニックでは、鎮痛剤や鎮静剤を使用することで、痛みや不快感を最小限に抑えるよう努めています。
また、内視鏡の挿入角度や空気の注入量を調整することで、苦痛を軽減することも可能です。検査中に少しでも痛みや不快感を感じた場合は、遠慮なく医師や看護師に伝えてください。検査を受けることへの不安や抵抗感がある方もいるかもしれません。検査を受けることで、病気を早期に発見し、適切な治療を受ける機会が得られます。これは、将来の健康を守り、より長く、より健康な人生を送るための重要な一歩となるのです。
大腸内視鏡検査後の注意点と回復
大腸内視鏡検査、お疲れ様でした。検査中は緊張された方も多いのではないでしょうか。無事に終わってホッとされていることと思います。
検査後は、お腹の張りや軽い不快感、あるいは少し疲れた感じがするかもしれません。検査結果が気になって落ち着かない、という方もいらっしゃるでしょう。
この章では、検査後の生活で注意すべき点、仕事や学校にいつから戻れるのか、そして検査後に体調不良を感じた場合の対処法について、私の経験談も交えながら詳しく解説します。
検査後の生活で気をつけるべきこと
検査中は大腸を広げるために空気を送り込みますので、検査後はガスが溜まって少しお腹が張っている感じがすることがあります。これは自然な現象なので心配いりません。おならとして出てきますので、我慢せずに出してくださいね。
また、ポリープを切除した場合は、出血のリスクを減らすために、激しい運動や飲酒は避けましょう。食事は、消化の良いものを少量ずつ摂るようにしてください。
例えば、おかゆ、うどん、白米、豆腐、鶏肉、白身魚などは、消化に良いのでおすすめです。検査当日は、香辛料の多い刺激物やアルコール、脂っこい食べ物は避け、ゆっくりと体を休めましょう。入浴は、熱いお風呂に長時間浸かるのは避け、ぬるめのお湯に短時間だけ入るようにしてください。
以前、検査後に辛いラーメンを食べて、お腹の調子を崩してしまった患者さんがいました。検査後は、胃腸に優しい食事を心がけることが大切です。
注意点 | 具体例 |
---|---|
食事 | おかゆ、うどん、煮物、豆腐、鶏肉、白身魚など消化の良いもの |
量 | 少量ずつ、腹八分目を目安に |
避けるもの | アルコール、香辛料、脂っこいもの、カフェイン |
運動 | 激しい運動は避け、軽い散歩程度に |
入浴 | ぬるめのお湯に短時間 |
仕事や学校へ戻るタイミング
検査後の仕事や学校への復帰時期は、検査内容や体調によって異なります。ポリープ切除などを行わなかった場合は、当日または翌日から普段通りの生活に戻れることが多いです。
しかし、ポリープを切除した場合は、出血や穿孔(腸に穴が開いてしまうこと)などの合併症のリスクを減らすため、数日間は安静にする必要があります。医師の指示に従い、無理せず徐々に活動を再開しましょう。
仕事内容によっては、重い物を持ち上げたり、激しい動きを伴う作業は控える必要があるかもしれません。デスクワーク中心であれば、比較的早く復帰できることが多いでしょう。
学校に通う場合は、激しい運動を伴う体育の授業などは、医師の許可が出るまで控えましょう。
例えば、20代の女性で、小さなポリープを1つ切除した患者さんは、翌日から通常通り大学に通っていました。一方、50代の男性で、大きなポリープを複数切除した患者さんは、3日間安静にした後、仕事に復帰しました。このように、個人差がありますので、医師とよく相談することが大切です。
近年、50歳未満で発症する早期発症大腸がん(eoCRC)が増加しており、20代や30代といった若い世代の方も、大腸内視鏡検査を受ける必要性が高まっています。
検査後の体調不良や異常を感じた場合の対処法
大腸内視鏡検査後、もし、腹痛、発熱、出血、強い吐き気などの症状が現れたら、すぐに医療機関に連絡してください。特に、38度以上の発熱や、大量の出血、激しい腹痛がある場合は、緊急性が高い可能性があるので、ためらわずに病院を受診してください。
症状 | 対処法 | 緊急度 |
---|---|---|
軽い腹痛 | 市販の鎮痛剤を服用し、様子を見る | 低 |
38度以上の発熱 | 医療機関に連絡する | 高 |
少量の血便 | 様子を見る | 低 |
大量の出血 | 医療機関に連絡する | 高 |
吐き気 | 水分を摂り、安静にする | 中 |
強い吐き気 | 医療機関に連絡する | 高 |
軽い腹痛 | 様子を見る | 低 |
激しい腹痛 | 医療機関に連絡する | 高 |
検査後の体調変化に気をつけ、何か異変を感じたら、すぐに医療機関に相談することで、安心して日常生活を送れるようになるでしょう。少しでも不安なことがあれば、遠慮なく主治医に相談してください。
まとめ
若い女性にとって、大腸内視鏡検査は、恥ずかしさや不安を感じやすい検査かもしれません。しかし、大腸内視鏡検査は、早期の大腸ポリープや大腸がんの発見、そして適切な治療につながる重要な検査です。特に近年は、若い世代での大腸がん増加が問題視されており、20代、30代でも積極的に検査を受けるべきです。検査への不安を軽減するため、事前の準備や検査の流れ、検査後の注意点などを理解しておくことが大切です。医師とよく相談し、安心して検査を受けられるようにしましょう。
全ては患者さんの「もっと早く治療しとけばよかった・・・」を無くしたいから。
詳しくは当院のホームページ(←こちらをクリック)からどうぞ。
令和6年11月9日
天白橋内科内視鏡クリニック 野田久嗣
・医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会消化器病専門医
・日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
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参考文献
- Venugopal A, Carethers JM. Epidemiology and biology of early onset colorectal cancer. EXCLI journal 21, no. (2022): 162-182.
追加情報
[title]: Epidemiology and biology of early onset colorectal cancer.,
早期発症大腸がんの疫学と生物学
【要要約】
- 大腸がんは、米国では男性または女性の癌関連死亡の第3位の原因である。
- 50歳から始まる平均リスクのスクリーニングは、50歳以上の患者における大腸がんの発生率と死亡率を低下させた。
- 一方、50歳未満の患者における大腸がんの発生率(早期発症大腸がん(eoCRC))は近年急増している。
- 本稿では、eoCRCの危険因子、eoCRCにおける臨床病理学的所見と転帰の違い、およびeoCRCと後期発症大腸がん(loCRC)と比較したときのeoCRCにおける変化した分子経路に関する最近の文献を要約する。
- eoCRCの疫学的研究は、遠位結腸と直腸に偏っており、糖尿病、肥満、食事、座りがちな時間、飲酒、喫煙などの多くの修正可能な危険因子と関連している。
- 抗生物質の先行暴露と微生物叢の変化または直接的な発がん物質への暴露の潜在的な危険因子に関するデータは、まだ明らかになっていない。
- 診断の遅れやより攻撃的な腫瘍生物学のために、eoCRCの臨床病理学的特徴が提示時に攻撃的になる可能性がある。
- ステージが一致していれば、eoCRCの転帰はloCRCと似ているが、若い年齢で進行期疾患の頻度が高いため、全体的な死亡率は高く、より多くの生存年数が失われる。
- これまでにeoCRCの分子評価はほとんど行われておらず、loCRCと比較して、TP53とCTNNB1の体細胞変異の潜在的な増加と、APC、KRAS、BRAFの体細胞変異の減少が認められている。
- その他の知見には、LINE-1の低メチル化、マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の欠如、染色体不安定性(CIN)またはマイクロサテライトと染色体の安定性(MACS)の存在がある。
- これらの研究はまだ始まったばかりで、eoCRCを定義する特定の分子シグネチャーはまだ特定されていない。
- eoCRCの遺伝的および分子的な違いと環境的トリガーを評価するさらなる研究は、症状のないリスクの高い若い個人のための標的スクリーニングを知らせるためのより明確な理解を提供するだろう。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35221839,
[quote_source]: Venugopal A and Carethers JM. "Epidemiology and biology of early onset colorectal cancer." EXCLI journal 21, no. (2022): 162-182.